
築年数が経過した住宅の性能不足は、多くの顧客が抱える共通の課題です。こうしたニーズに応えるためには、見た目を改善するだけのリフォームではなく、「性能向上リノベーション」の提案が不可欠です。
しかし、「性能向上リノベーション」の概念は幅広く、具体的な施工内容、収益性、そして顧客への適切な提案方法について、悩みを抱えるリフォーム事業者様も少なくありません。
この記事では、リフォーム事業を営む方が「性能向上リノベーション」を自社の強みとして確立し、新たな顧客層の開拓と収益拡大を実現するための実践的な情報を提供します。
目次
性能向上リノベーションとは?
性能向上リノベーションとは、既存の中古住宅の断熱性、気密性、耐震性といった基本性能を根本から引き上げるリノベーションのことです。単に見た目をきれいにしたり、間取りを変更したりする一般的なリフォームとは異なり、建物の構造や性能そのものに手を加えることで、新築住宅の標準性能を上回るレベルの住環境を実現します。
築年数の経過した住宅が抱える、冬の寒さや夏の暑さ、地震への不安といった根本的な課題を解決することで、顧客に安心で快適な暮らしを提供できます。
見た目の美しさだけでなく、住宅の安全性と快適性を大きく向上させる点が、顧客への強力なアピールポイントとなります。
性能向上リノベーションの主要工事と費用感
性能向上リノベーションの具体的な工事内容は、多岐にわたりますが、主に耐震改修、断熱・気密性能向上、そして耐久性向上の3つのカテゴリに分けられます。これらの工事は、建物の安全性と快適性を根本から高めるために不可欠です。ここでは、それぞれの工事内容と費用感について詳しく解説します。
耐震性能向上
日本の多くの住宅は、大規模な地震への備えが不十分なケースが少なくありません。耐震性能向上のための工事は、顧客の安全を守る上でもっとも重要な提案の一つです。
専門家による耐震診断を行い、建物の現在の耐震性能を正確に把握した上で、最適な補強工事を計画します。耐震補強工事には、建物の構造や診断結果に応じてさまざまな工法が用いられます。
例えば、基礎のひび割れや強度不足を改善する基礎補強、構造用合板や筋交いを壁に設置して横揺れに対する強度を高める壁の補強、地震の揺れを吸収する制震ダンパーの設置、建物の重心を下げて揺れを軽減する屋根の軽量化などがあります。
費用相場としては以下のようになります。
| 基礎補強 | 20万~30万円※ただし、工事の規模によって費用が高くなることもある。※1971年以前の家だともっと大規模な工事になる。 |
| 壁の補強 | 耐震パネル施工:25万~65万円筋交施工:5万~20万円 |
| 制震ダンパーの設置 | 約50万円~※材質によって金額が変わる。 |
| 屋根の軽量化 | 80万~150万円 |
上記の費用は大体の目安です。
断熱・気密性能向上
断熱・気密性能の向上は、顧客の暮らしの快適性を高めるだけでなく、光熱費の削減にも直結するため、非常に高い関心を持たれやすい提案です。
効果的な断熱改修は、熱の出入りが多い部分に集中的に行うことが重要です。壁や天井・屋根、床下にグラスウールやロックウール、ウレタンフォームなどの断熱材を充填することで、室内の温度を一定に保ち、夏の暑さや冬の寒さを軽減します。
部位別の費用相場としては、内壁に断熱材を充填する場合、4,000円~3万円/m2が目安となります。床下断熱と天井断熱はどちらも4,000~8,000円/m2が相場です。また、窓やドアなどの開口部の断熱化も重要です。既存の窓の内側に内窓を設置する工事は、費用を比較的抑えながらも高い断熱効果を実感しやすいため、顧客への訴求力が高い提案です。内窓の設置費用は、1カ所あたり8万~30万円程度が目安となります。
また、いくら高性能な断熱材を使用しても、隙間風が入るようでは十分な効果は得られません。気密性を高める施工は、断熱効果を最大限に引き出すために不可欠です。気密シートや気密テープを適切に施工することで、断熱性能を向上させ、結露を防ぐ効果も期待できます。
耐久性向上
建物の耐久性を高めることは、資産価値を維持し、長期にわたって安心して住み続けるために不可欠です。
屋根や外壁、バルコニーなど、雨水が侵入する可能性のある箇所を点検し、必要に応じて防水工事を行います。屋根や外壁の防水工事には、ひび割れや劣化した部分の補修、防水性能を持つ塗料の塗り替えなどが含まれます。この費用は、屋根で40万円~、外壁で100万円~が目安です。また、バルコニーでは、防水層の再施工などが必要となります。また、壁内部や床下の通気性を確保することは、湿気による木材の腐朽やカビの発生を防ぐ上で重要です。なお、バルコニーの防水工事費用の相場は、1万~2万円/m2程度になります。
特に築年数が経過した木造住宅では、シロアリ被害や木材の腐朽リスクが高まるため、防蟻処理や腐朽した木材の交換は、建物の安全性を維持するために欠かせない工事です。防蟻処理の費用は、床面積30坪程度の住宅で10万~20万円が相場です。
さらに、「長期優良住宅化リフォーム」は、住宅の耐久性を高め、長期にわたって良好な状態で維持するためのリフォームであり、税制優遇措置や補助金制度を利用できる場合があります。これらの制度を活用することで、顧客の経済的負担を軽減し、より高性能なリノベーションを後押しできます。
リフォーム会社が顧客に提案すべき性能向上リノベーションのメリット

性能向上リノベーションは、単なるリフォームとは一線を画す、顧客に大きな価値を提供できるサービスです。ここでは、リフォーム会社が顧客に提案すべき、性能向上リノベーションの具体的なメリットを解説します。これらのメリットを理解し、適切に顧客に伝えることで、他社との差別化を図り、成約率を高めることができるでしょう。
顧客に新築以上の高性能をリーズナブルな価格で提供できる
新築住宅の価格が高騰している中、性能向上リノベーションは、新築よりも安価に、かつ新築以上の性能を住宅に付加できる点が最大のメリットです。
特に、断熱性や耐震性など、新築の住宅性能表示制度の最高等級に準じたレベルまで性能を引き上げることも可能です。見た目だけでなく、目に見えない部分の性能を向上させることで、リノベーションと新築で迷っている顧客にも魅力的な選択肢として提案できます。
自由な間取りと快適な空間設計を提案できる
性能向上リノベーションは、建物の構造を生かしながらも、大幅な間取り変更が可能です。耐震補強を行うことで、大きな開口部を設けるなど、採光や通風に優れた開放的なLDKを設計することもできます。
また、断熱改修と組み合わせることで、吹き抜けや広い空間でも冬は暖かく、夏は涼しい、快適な住環境を実現できます。顧客のライフスタイルや理想の暮らしに合わせた自由な空間設計を提案できることは、顧客満足度を向上させる大きな強みとなります。
耐震性能と断熱性能の改善により顧客満足度が高まる
地震への不安や、冬の寒さ、夏の暑さといった住宅の性能不足は、多くの顧客が抱える共通の悩みです。
性能向上リノベーションによって、耐震性能を高めて家族の安全を守り、断熱性能を高めて光熱費の削減と健康的な暮らしを提供することは、顧客の根本的な悩みを解決し、高い満足度につながります。
これらのメリットは、単なる見た目の美しさだけでは得られない、本質的な価値として顧客に響くはずです。
環境への配慮により企業のイメージアップにつながる
性能向上リノベーションは、既存の建物を長く大切に使うことにつながり、解体や新築で発生する廃材を削減できます。また、断熱性の向上によって冷暖房の効率が上がり、省エネルギーな暮らしを実現できるため、脱炭素社会への貢献にもつながります。
こうした環境への配慮は、リフォーム会社の社会的責任として顧客からの信頼を高め、企業イメージの向上にも貢献します。
顧客の建物の資産価値向上を訴求できる
性能向上リノベーションは、建物の寿命を延ばし、資産価値を高める効果があります。耐震性や断熱性が向上した住宅は、市場でも高い評価を得やすく、将来的に売却する際にも有利に働きます。
特に「長期優良住宅化リフォーム」の認定を受けることで、建物の価値をさらに明確に示せるため、顧客の「資産」としての住宅に対する意識を高め、より大規模なリノベーションの提案を後押しできるでしょう。
性能向上リノベーションにおけるデメリットと改善策

性能向上リノベーションは多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットを事前に把握し、適切な対策を講じることで、顧客とのトラブルを回避し、円滑な工事を進めることができます。
地盤改良の必要性とコスト負担:顧客への説明が必要
耐震改修を行う際、建物の重量増加や構造上のバランスの変化によって、地盤改良が必要となるケースがあります。地盤改良には追加のコストが発生するため、顧客にとっては予期せぬ負担となる可能性があります。
改善策としては、契約前の詳細な現地調査と地盤調査を徹底し、地盤改良の必要性の有無と、その場合の費用や工期を契約前に明確に説明することです。また、地盤調査の結果は専門的な内容となるため、顧客に分かりやすくかみ砕いて伝える配慮も求められます。
確認申請の必要性:手続きの流れを把握
大規模なリノベーションや増築、間取りの変更を伴う場合、建築確認申請が必要になることがあります。この手続きには時間と手間がかかるため、工期に影響を及ぼす可能性があります。
建築確認申請が必要となる工事の範囲を正確に把握し、手続きのプロセスや期間をあらかじめ顧客に伝え、スケジュールに組み込んでおくことが対策として重要です。また、申請手続きを代行する専門家との連携体制を構築しておくことで、スムーズな進行が可能になります。
固定資産税への影響:顧客への説明
建物の性能を向上させるリノベーションを行うと、建物の資産価値が上がったと見なされ、固定資産税が増額される可能性があります。これは、リノベーションが完了してから数年後に通知されるため、顧客にとっては後から発生する予期せぬ出費となります。
対策は、固定資産税が増額される可能性があることを、工事前に顧客にきちんと説明しておくことです。どの程度の増額が予想されるのか、具体的な金額を伝えることは難しいですが、目安として説明することで、顧客の納得感を得やすくなります。
構造上の制約・限界:顧客への説明
築年数の古い建物や、特殊な構造の建物では、構造上の制約により、顧客の希望どおりの間取り変更やデザインを実現できない場合があります。特に、耐震壁の撤去などは、建物の安全性を損なうため、安易に行うことはできません。
建物の構造を正確に把握し、できることとできないことを正直に顧客に伝えるようにしましょう。代替案や、構造を生かした魅力的なデザインを提案することで、顧客の期待に応えつつ、安全なリノベーションを実現することができます。
施工の長期化:工程管理と顧客への報告
性能向上リノベーションは、一般的なリフォームに比べて工事の規模が大きくなるため、工期が長期化する傾向があります。工事期間中は、騒音や職人の出入りなど、顧客の生活に大きな影響を与えるため、丁寧な対応が求められます。
詳細な工程表を作成し、工事の進捗状況を定期的に顧客に報告し、安心感を提供することが対策として有効です。また、天候などによる工期の変更が生じた場合も、速やかにその理由と新しいスケジュールを共有することが、顧客との信頼関係を築く上で不可欠です。
性能向上リノベーションを提案するならLIXIL商材を!
フランチャイズチェーンであるLIXILリフォームショップ加盟店様向けに「ここちリノベーション」という断熱・耐震など建物の価値・性能を向上させるリノベーションのパッケージ商品をご用意しています。 住宅の性能を向上させることにより、人の「夢は広がるくらし」と、家が「持続していく力」を高めることで、街全体をより豊かにしていくこと。LIXILリフォームショップの創造する「ここちリノベーション」だと考えます。(受注平均単価1,130万円)
さらに、LIXILリフォームネットとLIXILリフォームショップ加盟店様向けには「まるごと断熱リフォーム(スーパーウォール工法リフォーム)」をご利用いただけます。
>詳細はこちら:LIXIL | 高性能住宅工法 | まるごと断熱リフォーム/スーパーウォール工法リフォーム
また、LIXILリフォームネットは、性能向上リノベーションに関する最新のトレンドやノウハウを習得するための充実したサポート体制をご用意しております。人材育成や集客・提案力アップに役立つ多様なサービスを他社よりもリーズナブルにご利用いただけます。
まとめ
この記事では、「性能向上リノベーション」を貴社の新たな事業の柱として確立するための実践的なノウハウを解説してきました。その概要から具体的な工事内容、費用、そして貴社が顧客に提案すべきメリット・デメリット、円滑に事業を進めるための改善策まで、多角的にご理解いただけたかと存じます。
性能向上リノベーションは、単なる見た目のリフォームではなく、住宅の根本的な価値を高める「投資」です。新築にはないコストメリットと、新築以上の高性能を両立させることで、貴社は従来の顧客層とは異なる、新たな市場を開拓できる可能性を秘めています。
しかし、この分野で成功を収めるには、専門的な知識と技術、そして顧客との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力が不可欠です。また、地盤調査や確認申請、税務など、多岐にわたる専門知識を習得し、正確な情報をお客様に提供できる体制を構築する必要があります。
性能向上リノベーション事業の強化にご興味のある方、LIXILリフォームネットまたはLIXILリフォームショップのサービス詳細にご関心をお持ちの経営者様は、ぜひお気軽に資料請求・動画視聴請求よりお申し込みください。

