リフォームの基礎知識と費用の相場
中古住宅を買ってリフォームするには?メリットと費用相場、確認事項
住まいを購入する際の選択肢として、中古住宅を購入する方法と、新築の建売住宅・注文住宅を購入する方法があります。このうち中古住宅の購入を選択する場合、一般的にはリフォームが必要です。中古住宅をリフォームやフルリノベーションして、理想の住まいを実現しましょう。
この記事では、中古住宅を購入してリフォームする際に役立つ基礎知識を解説します。工事の費用相場から注意点までお伝えするため、後悔しない選択をするために、ぜひ参考にしてみてください。
中古住宅を購入してリフォームするメリット・デメリット
これからマイホームを購入するにあたり、中古住宅と新築住宅のどちらにするべきか、選び方で迷っている方も多いのではないでしょうか。初めに、新築と比べた場合の、中古物件のメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
新築住宅を建てるために一から空き地を探す場合と比べて、一般的に中古住宅は選択肢が多い傾向にあり、希望のエリアで物件を見つけられる可能性があります。なかには建物・敷地の面積が広い物件や、デザイン性に魅力のある物件もあり、希望の立地や条件に合う中古一戸建てを見つけられるかもしれません。また、中古住宅は新築と比べて購入費用を抑えられるのも魅力です。予算の範囲で希望の条件を叶えるために、中古住宅も検討してみると良いでしょう。
デメリット
中古住宅は購入後にリフォームが必要なケースもあり、場合によっては高額な修繕費用がかかるおそれがあります。特に、築年数が古い物件の場合は、内装・外装のリフォームだけでなく、構造部分の耐震補強工事が必要なことも珍しくありません。建物の見えない部分が劣化している可能性もあるので、メンテナンスにかかる費用も考慮しておきましょう。また、建物の状態によっては、既存の間取りを大きく変更できない可能性があります。
中古住宅のリフォーム費用の相場と抑えるコツ
中古住宅の物件購入では、住宅の修繕に高額な工事費用がかかる可能性があります。ここでは、リフォーム費用の価格帯や、工事費を抑えるコツをご紹介します。ぜひ資金計画の参考にしてみてください。
なお、本見出しでご紹介するのは、中古住宅をなるべくきれいな状態に戻すためにかかるリフォーム費用の相場です。リノベーションのように、既存の建物を一新しておしゃれな住まいに仕上げるケースでは、より多くの費用がかかる可能性がある点に留意しておきましょう。
中古住宅のリフォーム費用の相場
以下の表では、中古住宅の築年数ごとのリフォーム費用の相場をまとめています。
築年数 | リフォーム費用の相場 |
10年 | 100万円~150万円 |
20年 | 270万円~500万円 |
30年 | 1000万円~1500万円 |
一般的に、築年数が古くなるほどリフォーム費用の相場が高くなる傾向にあります。その理由は、設備の老朽化にともない交換費用がかかったり、修繕箇所が増えたりするためです。不動産自体の価格は基本的に築年数が古くなるほど安くなる傾向にあるものですが、その一方でリフォーム費用が高額になっていくということに注意しておきましょう。
中古住宅のリフォーム費用を抑えるコツ
築年数が浅い物件を購入する
築年数が浅い物件は、場合によっては設備などの大規模なリフォームをせずに済むことがあります。例えば、キッチン・トイレ・浴室・洗面所といった水回りの設備はそのまま使用し、クロスの張り替えのみ行って、好みの雰囲気に変えるのも一つの方法です。
減税や補助金を利用する
国や自治体がリフォームで使える減税・補助金制度を用意していることがあります。減税制度の一例として「住宅ローン減税」や「省エネリフォーム減税」などが挙げられます。特定の条件を満たすリフォームをすると、所得税や固定資産税などの減税を受けられるので、ぜひ活用すると良いでしょう。補助金制度の一例として「すまい給付金」「長期優良住宅リフォーム推進事業」などの支援事業が挙げられます。条件や期日などを各サイトで事前に確認しておきましょう。
複数のリフォーム業者に見積もりを依頼する
リフォームを依頼する施工業者を選ぶ際は、複数の業者から相見積もりを取って料金を比較検討することが大切です。リフォーム費用は業者によって金額に差が出やすい傾向にあります。見積もりを比較して適正価格を見極めるとともに、対応に満足できる業者を選びましょう。
中古住宅でも住宅ローンは組める?
中古住宅の購入・リフォームでもローンは組めます。中古住宅の購入では「住宅ローン」、中古住宅のリフォームでは「リフォームローン」を利用可能です。
ただし、新築で住宅ローンを組む場合とは条件が異なることに留意しましょう。例えば、中古住宅の購入で住宅ローンを組む際は、建物の築年数によって借入金額や返済期間の制限を受けるほか、頭金なしではフルローンを組めないことも珍しくありません。その理由は、万が一住宅ローンの返済が困難になった場合に、中古住宅には高値がつきにくく、売却しても金融機関が融資した金額を回収できないおそれがあるためです。また、新築の住宅ローンで利用できる「住宅ローン減税」に関しても、中古住宅の場合は対象となる条件を満たせない可能性があるためご注意ください。
一方、中古住宅のリフォームローンは、住宅の増改築や修理といったリフォーム工事の費用に対して利用可能なローンです。住宅ローンとは条件の面でさまざまな違いがあります。このほかに、中古住宅の購入費用とリフォーム費用をまとめて借入する場合に使える、一体型のローンもあります。必要に応じて利用を検討すると良いでしょう。
住宅ローンとリフォームローンの具体的な違いは、以下の表でご確認いただけます。
<住宅ローンとリフォームローンの違い>
住宅ローン | リフォームローン | |
担保 | 必要 | 無担保型・有担保型がある |
融資額 | 1億円まで | 500万円~1,000万円程度 |
返済期間 | 最長で35年 | 最長で15年 |
金利 | 低い | 住宅ローンより高い |
住宅ローンとリフォームローンには、上記のような違いがあります。住宅ローンは担保が必要で、融資額が大きく、返済期間が長いのが特徴です。一方、リフォームローンは担保が不要で、融資額は比較的小さく、返済期間も短くなります。また、金利を比較すると、リフォームローンの金利のほうが高い傾向にあります。
中古住宅を購入してリフォームする流れ
中古住宅の物件選びからリフォームまでの流れを、5つのステップで解説します。リフォームやリノベーションで建物を修繕して、自分好みのこだわりの住まいを実現しましょう。
Step1. 物件を探す
まずは希望のエリアで条件に合った中古住宅を探します。一般的には、仲介業者に依頼して物件を探すケースが多いでしょう。業者に相談して予算や条件を伝える際は、リフォームを検討している旨も併せて伝えておくとスムーズです。物件の状態によっては、大規模なリフォームができない可能性もあるため、事前にチェックしておく必要があります。また、住宅ローンやリフォームローンを利用する予定がある方は、金融機関への相談を進めておきましょう。
Step2. 物件を確認する
希望に合う物件が見つかったら、仲介業者に内覧の予約を入れて見学します。内覧する際は、建物の日当たりや間取りなどをチェックします。また、中古住宅の場合は「外壁にヒビ割れがないか」「水回りにトラブルがないか」「電気容量は十分か」「シロアリの被害はないか」といったポイントまで詳細に確認しておくと安心です。
Step3. リフォームのイメージを固める
物件を購入する前段階で、リフォームの大まかなイメージを固めておきましょう。修繕が必要な設備や、間取りを変更したい箇所、希望のインテリアスタイルなど工事内容の方向性を決めていきます。物件の購入後からリフォームの計画を立て始めると、工事が始まるまでに時間がかかり、入居が遅れてしまうため注意が必要です。
Step4. リフォーム業者を決める
リフォームのイメージが固まってきたら、リフォーム業者の選定も早めに進めておくようおすすめします。物件の引き渡しを済ませた後で、速やかに施工を開始できると理想的です。業者選びでは、過去の施工事例をチェックする時間や、複数の業者に相見積もりを取り比較検討する時間がかかります。リフォームのイメージを固める段階から、余裕をもって準備を進めておきましょう。
Step5. リフォームの工事を行う
リフォーム業者と工事請負契約を結び、支払いを済ませたら工事がスタートします。工事が始まる前に、業者の担当者とともに近隣の方への挨拶を行いましょう。事前にご迷惑をおかけする旨を伝えておくことで、トラブルを避けやすくなります。また、減税や補助金を利用する場合は、期限に余裕をもって手続きを進める必要があります。工事期間中は適宜現場を見学して、「工事の進捗状況に問題ないか」「契約通りの工事が行われているか」などをチェックすると良いでしょう。
リフォーム前提の中古住宅購入時に確認すべきポイント
リフォームを前提として中古住宅の購入を検討している場合は、事前に以下のポイントを確認した上で判断すると良いでしょう。ここでは、中古住宅の購入時の注意点をお伝えします。
リフォームができる構造か
中古住宅の購入前に、希望通りのリフォームができる構造かどうかをチェックすることが大切です。特に、木造戸建て住宅の工法には「在来工法」と「2×4(ツーバイフォー)工法」の種類があり、それぞれ構造に違いがあります。在来工法の建物は、基本的に間取り変更をともなうリフォームに対応可能です。一方で、2×4工法の建物のリフォームでは、開口部を広く取れなかったり、増築・減築に対応できなかったりする可能性があるため注意しましょう。
耐震性を確保できているか
築年数の古い木造住宅は、腐食やシロアリの食害により木材が老朽化しているおそれがあります。そのため、購入前にホームインスペクション(住宅診断)を利用して、建物の現状を把握しておくと良いでしょう。ホームインスペクションでは、住宅のプロが第三者の立場で建物の劣化状況や不具合の有無などをチェックした上で、専門的なアドバイスを実施します。専門家に相談して、耐震リフォームの必要性を確認しておくようおすすめします。
住宅ローン控除が適用されるか
中古住宅の中でも、旧耐震基準の物件で住宅ローン控除を受けるためには、「耐震基準適合証明書」の書類が必須となります。証明書を発行するには、耐震補強工事により一定の基準を満たす必要があり、一般的には取得が難しい傾向にあります。そのため、住宅ローンを組んで減税を受ける場合は、あらかじめ建物の耐震基準を確認しておきましょう。なお、旧耐震基準とは1981年5月31日まで適用された耐震基準のことです。目安として築40~50年の中古住宅は旧耐震基準である可能性が考えられます。