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設備設計視点のコラム

〜意外と知らない「不使用の理由」と今後の付き合い方〜

           <<設備設計視点のコラム>>

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日本の住宅設備の中で、世界にも誇れる代表格といえば「温水洗浄便座」でしょう。

日本国内の温水洗浄便座の普及率は80%以上とされていますが、

実際の使用率は67割程度に留まるという調査結果もあります。

(一般社団法人 日本レストルーム工業会データより)

住宅業界に携わる者として、私はこれまで数多くのトイレリフォームに関わってきましたが、

現場でしばしば耳にするのが、「ついているけど使っていない」という声です。

これほどまでに普及している設備なのに、なぜ使われないケースがあるのでしょうか?

そして私たちはそれをどう捉え、どう提案していくべきなのでしょうか?

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「使わない」理由は機能ではなく"感情"

現代の温水洗浄便座は、清潔・快適・省エネの三拍子が揃った高性能製品です。

それでもなお、使われない背景には、「衛生面が気になる」「なんとなく抵抗がある」

「故障が心配」といった、感覚的・心理的な要因が根強く存在します。

これは、設備としての性能が十分であっても、「使い方に慣れていない」

「説明を受けたことがない」など、生活者との接点の少なさに起因していると感じます。

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リフォーム現場では「提案の仕方」がカギ

私が提案時に大切にしているのは、「高機能です」と伝えることではなく、

実生活にどう役立つかを具体的に伝えることです。

たとえば、

「冬場に便座が冷たくて驚いた経験、ありませんか?」

「紙でこするより水で流したほうが肌にはやさしいんですよ」

「高齢になったとき、自動で洗ってくれるのは本当に助かります」

こうした視点で話すと、お客様の表情が変わるのを感じます。

単なる設備ではなく、生活の質(QOL:クオリティ オブ ライフ)を高める道具としての

イメージが伝わるからです。

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これからの時代、「使わない前提」では設計できない

2025年現在、温水洗浄便座は「あるのが当たり前」の時代です。

しかし将来的には、それが単なる付属機能ではなく、住宅の衛生基準やバリアフリー設計の

一部として位置付けられる日が来るかもしれません。

特に高齢者住宅や多世帯住宅においては、拭き取り動作が難しい場面も出てきます。

そういった将来を見据えれば、今「使わない」と思っていても、備えておく価値がある設備

だと私は考えています。

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最後に:使うかどうかは自由。ただ、知った上で選んでほしい

私たち専門家が果たすべき役割は、「無理に設置」することではなく、

正しい情報と選択肢を提示することです。

温水洗浄便座に限らず、どんな設備も"使われて初めて価値が生まれる"ということを、

日々実感しています。

トイレは毎日何度となく使う場所です!

「使っていないから要らない」と切り捨てる前に、

「なぜ使っていないのか?」「必要となるときはないのか?」を一緒に見直してみませんか?

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