
冬に空き巣が増える理由
警視庁が公開している統計データによると、空き巣被害は一年のうち秋から冬にかけて増加する傾向にあります。理由としては次のようなものが考えられます。
日没が早い
冬は夏に比べて日が暮れるのが早く、夜の時間が長くなる季節です。空き巣にとっては、暗闇に紛れて行動できる時間が増えるため、人目を避けて侵入しやすい環境になります。夕暮れから夜間を狙った空き巣のことを「宵空き」と呼びますが、秋から冬にかけては宵空きによる空き巣被害が特に発生しやすい状況です。
寒さで窓を閉め切る家が多い
冬は防寒のために窓を閉め切るご家庭が多く、窓ガラスの割れる音や物音が聞こえづらいため、窓を開放しているときよりも空き巣の侵入に気づきにくくなります。空き巣に狙われやすいのは窓を開けているとき、というイメージを持っている方が多いと思いますが、閉め切っていてもリスクがあることを覚えておきましょう。
年末年始の長期不在
年末年始の休暇中は、帰省や旅行で家を長期間留守にする機会が多く、空き巣被害のリスクが高まります。"数日だから大丈夫"と油断していても、溜まった郵便物などから不在が知られてしまい、狙われるきっかけになることがあります。
自宅に現金がある可能性が高い
クリスマスやお正月のイベント準備で、自宅に現金を保管しているご家庭が増えることも、冬に空き巣被害が増える背景のひとつです。日本でも少しずつキャッシュレス化が進んでいるとはいえ、お年玉の受け渡しなどは現金での受け渡しが中心なので、年末年始は普段よりも現金を多く手元に用意しておかなければならないのが現状です。
今すぐできる低コストの防犯対策
いざ防犯対策をしようと思っても「お金や時間がかかるし、大変そう」と感じる方は少なくありません。そこで今回は、今すぐできる低コストの防犯対策を紹介します。
<玄関・勝手口の対策>
侵入経路になりやすい玄関や勝手口は、侵入者が近付きにくい環境づくりと、侵入に時間がかかるような物理的対策を組み合わせるのがおすすめです。
対策①:センサーライトを設置する
人が近づくと自動点灯するセンサーライトは、侵入者を威嚇して心理的プレッシャーを与えます。タイマー付きの照明にすると、留守中でも在宅しているように見せかけられるので便利です。玄関や勝手口、窓周辺、外構の死角部分など、侵入経路になりやすい場所に設置しましょう。
対策②:補助錠を付ける
空き巣は侵入に5分以上かかると約7割が諦めるとされており、補助錠を付けて侵入に時間をかけさせるのは非常に有効な対策です。
玄関の補助錠は、大きく分けて「外付けタイプ」「内付けタイプ」「面付けタイプ」の3種類あり、それぞれ設置方法や機能が異なります。防犯性を重視する場合は面付けタイプが最適ですが、設置には工事が必要になります。

対策③:サムターンカバー・サムターン防護金具
勝手口は「サムターン回し」で侵入されやすいポイント。これは、ドアの隙間から特殊工具を入れて室内側のつまみを回す手口です。対策としては、サムターン回し防止の金具をつけたり、ワンタッチでは回せない特殊サムターンに交換することなどが有効です。
対策④:防犯カメラを設置する
死角が多い建物は空き巣に狙われやすいため、防犯カメラの設置を検討してください。設置によって防犯意識の高さをアピールできる他、トラブルが起きた際の状況証拠を残すことができます。最近ではAI機能を搭載した防犯カメラも出ており、不審者の侵入などの異常を検知してリアルタイムで通知することも可能になっています。

対策⑤:防犯砂利を敷く
防犯砂利とは、踏むと大きな音が出るように加工された砂利のことです。ガラス製やセラミック製などさまざまな種類がありますが、手軽さを重視する場合はガラス製がおすすめです。
70〜75db以上の音が出るものが効果的ですが、音が大きすぎると近所迷惑になる可能性があるので、頻繁に歩くところには音が小さめの砂利を敷くと良いでしょう。

<窓まわりの対策>
空き巣の侵入経路で最も多いのが、窓です。防犯対策は必須と考えておきましょう。玄関と同じように補助錠を設置するほか、次のような対策が考えられます。
対策①:防犯フィルムを貼る
防犯フィルムを貼ると窓ガラスが割れにくくなり、侵入に時間をかけさせることができます。また、地震や台風で窓ガラスが破損しても破片が飛び散りにくいので、災害対策としても効果的です。より高い防犯効果を期待するなら、CPマーク(防犯性能の高い建物部品であることを示す認定マーク)のある製品を選ぶのがおすすめです。

対策②:シャッターを設置する
窓の防犯対策で最も効果が高いのが、シャッターの設置です。外出時にシャッターを閉めておくことで、空き巣に侵入しづらい家だと思わせられるため、視覚的な防犯効果も期待できます。後付けリフォームする場合の費用相場は一箇所あたり5万円〜40万円で、シャッターの種類(手動か電動か)や設置場所によって変動します。正確な費用は、業者に現地調査を依頼したうえで見積を取って確認するようにしましょう。

その他の対策
空き巣は、侵入に時間がかかりそうな家を嫌がります。裏を返せば、防犯意識が低そうで無防備な印象の家は狙われやすくなります。次のような特徴のある家は特に注意が必要です。
- ポストに新聞やチラシが溜まっている
- 夜になっても照明が点灯しない
- 一日中カーテンが閉まったままになっている
- 庭が手入れされていない
また、最近増えているのが、SNS投稿をきっかけとした空き巣被害です。旅行などの情報をリアルタイムに発信すると、空き巣に不在を悟られてしまい、留守を狙って侵入される可能性があります。
SNSを利用する際は、なるべく時間を空けて投稿する、公開範囲を友達限定にするなど、ちょっとした工夫が防犯対策につながります。
防犯は"住宅メンテナンス"の一部
家の防犯対策は決して特別なものではなく、快適で安心な暮らしを守るためのメンテナンスの一環として取り組んでいくべきです。玄関ドアや窓枠などの経年劣化を放置すると、外観が悪化するだけではなく家の防犯性能も下がり、空き巣に狙われるリスクが高くなります。
家の設備は定期的に点検し、劣化や異常が見つかった場合は、すみやかにリフォームや修繕を実施してください。
まとめ
空き巣被害を防ぐためには、防犯カメラや補助錠など防犯設備を充実させ、侵入されにくい環境を整えておくことが大切です。冬は一年で空き巣が最も増える時期なので、年末年始の忙しさなどを理由に油断せず、日頃から防犯意識を持って過ごすよう心がけましょう。
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