
台風被害は増加しています
近年、地球温暖化の影響により、台風の大型化や激甚化が進んでいます。気象庁の統計によると、台風の接近や上陸数には大きな変化がありませんが、1つの台風がもたらす被害の深刻度は確実に増しています。例えば、2019年には台風15号と19号が相次いで上陸し、経済的損失は合計で約2兆7500億円にのぼりました。これは統計上過去最大の被害額です。
さらに、1時間あたりの降水量が50mmを超える大雨の発生回数も増加傾向にあり、全国各地で洪水や土砂災害のリスクが高まっています。こうした状況を踏まえると、これまでの台風対策や備えだけでは対応しきれないケースも増えてきていると言えるでしょう。
住まいを守るために何をすればいい?
台風が接近しそうなときは、強風や大雨が発生する前に次のような対策をしておき、大切な住まいを守りましょう。
窓やドアはロックする
強風による破損や落下を防ぐため、窓やドアは完全にロックしてください。窓ガラスに飛散防止フィルムや養生テープ、ガムテープを貼って補強するのもおすすめです。雨戸やシャッターを設置している場合は必ず閉めましょう。
家のまわりの植木鉢などを屋内にしまう
植木鉢や自転車など、強風で飛ばされる可能性のあるものは、一時的に屋内にしまっておきましょう。庭木は移動ができないため、支柱を立てて固定してください。
雨どいや側溝、排水溝を掃除する
雨どいや道路わきの側溝の水はけが悪いと、詰まっている場所から水が噴き出てしまい、敷地内に水が溜まったり雨漏りを引き起こすことがあります。落ち葉や土砂が溜まっている場合はしっかり取り除き、雨水の流れを遮らないようにしましょう。
台風の接近情報は気象庁や自治体の発信を確認し、時間のかかる屋外作業などは、なるべく台風接近の3日前までを目途に済ませてください。

台風に備えるための家造り
台風被害を最小限に抑えるには、応急処置だけではなく住まいそのものを強くする必要があります。土地選びや建物の形状などは新築時に考慮するべきですが、リフォームによって実現できるものも多くあります。
①.シャッターや雨戸をつける
シャッターや雨戸には、台風による雨風や飛来物から窓ガラスを守る役割があります。後付けできるタイプもあるためリフォームでの施工も可能です。リフォームの施工費用は1か所あたり5万円~30万円が目安ですが、電動シャッターなど高機能なものの場合、40万円以上かかるケースもあります。
②.強度の高い窓ガラスに変える
飛散防止フィルムや養生テープでの補強は、飛来物が衝突したときの飛散防止が目的で、ガラスを割れにくくする効果はあまり期待できません。恒久的な台風対策としては、強度の高い合わせガラスや防災ガラスに交換しておくことをおすすめします。
窓ガラスの交換費用は、ガラスの種類やサイズによって異なりますが、合わせガラスの場合は1枚あたり3万円~7万円前後が目安です。
③.耐風圧カーポートで強風に備える
カーポートは風の影響を直接受けやすいので、耐風圧強度の高いタイプを選んでください。一般的なカーポートの耐風圧強度は風速34~38m/秒程度ですが、近年増加している大型台風では風速40~50m/秒を記録しており、通常のカーポートでは屋根材が飛んだり支柱が曲がってしまう可能性があります。
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台風が去った後の確認ポイント
台風が過ぎ去った後、必ず行っておきたいのが住まいの点検です。一見すると分かりづらい場所が被害を受けている可能性もあり、放置すると雨漏りや内部構造の腐食によって住まいの寿命が短くなってしまうためです。
次の表は、台風後の住まいのチェックポイントをまとめたものです。台風が完全に落ち着いて安全が確保できてから、1か所ずつ点検していきましょう。
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チェック箇所 |
チェック内容 |
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屋外 |
屋根 |
・瓦のひび割れやズレ ・棟板金の剥がれ |
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外壁 |
・飛来物によるひび割れ、穴 ・塗装の剥がれ |
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雨どい |
・雨どいの歪み、割れ ・落ち葉などのゴミが溜まっている |
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ベランダ |
・排水溝がゴミで詰まっている ・手すりのぐらつき |
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カーポート |
・屋根の飛散 ・支柱やフレームの歪み |
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屋内 |
窓・サッシまわり |
・ガラスの破損 ・サッシの歪みや破損 |
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天井 |
・水シミや変色 ・強い湿気やカビの臭い |
特に屋根はしっかりとチェックを!
台風による損傷があると雨漏りの原因になるため、特に念入りにチェックしておきたいのが屋根です。雨風や紫外線にさらされ続けている屋根は劣化が進んでいる可能性が高く、状態によっては台風による影響を受けやすくなっています。
<屋根のチェックポイント>
瓦やスレートが破損したりズレていないか
屋根材に穴やひび割れがないか
雨どいに詰まりや損傷がないか
軒天や破風板がめくれたり割れたりしていないか
屋根裏や天井にシミができていないか
台風後の屋根点検は、ご自身が安全に行える範囲で実施しましょう。上階から自宅の屋根を確認する・住まいより高い場所から屋根を眺めるといった方法が考えられます。屋根に登るのは大変危険なので絶対にやめてください。

まとめ
日本は、台風の上陸数が世界で3番目に多い国です。毎年のように全国各地で台風による被害が発生しており、暴風・洪水・停電などさまざまな災害をもたらすため、日本に住んでいる限り、台風に強い家づくりや日頃からの備えは欠かせません。また、台風が去った後も油断は禁物です。被害を受けやすい屋根まわりを中心に住まいの点検を行い、損傷が見られないか早めに確認してください。
台風の影響を受けやすい地域にお住まいの場合、窓ガラス交換など、事前のリフォーム対策を検討してみるのもよいでしょう。