
突然窓ガラスにヒビが!
何かをぶつけたりした訳でもないのに、窓ガラスに突然ヒビが入ったときは「熱割れ」という現象が起きているかもしれません。熱割れとは、力を加えていない状態でも自然にガラスが割れてしまう事象です。ガラスの内部に極端な温度差が生じることで「熱応力」と呼ばれる力が発生し、その力にガラスが耐えきれずに割れてしまうのが原因です。
熱割れは、夏の暑い時期や、冬の晴れた日の午前中によく発生します。例えば冬の朝、非常に寒い日に朝日がガラスに当たると、条件によっては50℃付近まで上がることがありますが、サッシ枠は外気温に近い温度となっているため、ガラスの中央部分と端に大きな温度差が生じて熱割れが発生するといった仕組みになっています。
熱割れの発生リスクはガラスの種類によって異なります。
最もリスクが高いのは網入りガラスで、ガラスの中のワイヤーは熱を帯びると膨張しやすいため、熱割れが非常に起こりやすい構造となっています。熱割れのリスクを下げたいときは、耐熱性の高い強化ガラスを採用するのがベストです。
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ガラスの種類 |
特徴 |
熱割れのリスク |
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フロートガラス |
最も一般的な透明のガラス |
中 |
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網入りガラス |
金属製の網が封入されたガラス |
非常に高い |
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強化ガラス |
熱処理によって強度を高めたガラス |
低 |
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複層ガラス(ペアガラス) |
2枚以上のガラスを重ね、その間に空間(中空層)を持たせたガラス |
中〜高 |
熱割れの見分け方
ガラスのヒビが熱割れによるものかどうかは、ヒビの入り方で判断できます。熱割れの場合、ガラスの端から直線状に1〜3本のヒビが入るのが特徴です。ヒビの本数が多いほど、ガラスの中で大きな温度差が生じていたことを表しています。
一方、衝撃によって割れた場合は、物がぶつかった箇所を中心に放射線上(クモの巣のような形状)のヒビが入ります。

熱割れを発見したら?修理は?
窓ガラスの熱割れを見つけたら、まずは応急処置をして被害の拡大を抑えましょう。ガムテープや養生テープをヒビに沿って貼り付ける方法がおすすめです。修理は窓ガラスのみ交換する方法と、外窓サッシごと交換する方法の2通りあります。
①.窓ガラス交換の場合
窓ガラスのみ交換する場合、サッシ交換と比べて費用は安く済みますが、次のようなデメリットがあることも覚えておきましょう。
- 環境条件が変わらなければ、また熱割れするリスクがある
- 古いサッシでは熱割れに強い窓ガラスを入れられない可能性がある
- サッシが経年劣化で寿命を迎えている可能性がある
②.外窓サッシごと交換の場合
外窓サッシごと交換する場合、窓ガラス単体の交換より費用が高くなりますが、窓全体の断熱性・耐久性・防犯性などの住宅性能が総合的に向上するというメリットがあります。
どちらの方法が良いかは、予算の都合や住宅の状況によって変わってくるため、信頼できる業者に相談しながら施工方法を検討してください。条件によっては補助金や助成金の対象にもなります。
熱割れは火災保険で直せる?
通常の火災保険だけでは「窓ガラスの熱割れ」は補償外です。火災保険の内容に「不測かつ突発的な事故(破損・汚損)による損害」という項目が含まれている場合、熱割れも補償対象になる可能性があります。ただしオプション契約(特約)としている保険会社も多いため、契約中のプランに「不測かつ突発的な事故(破損・汚損)による損害」が含まれているか確認しておくと良いでしょう。
また、修理費用が保険の免責金額より安い場合は、保険金が受け取れないため注意が必要です。(免責金額を3万円で設定、修理費用が2万円のケースなど)

熱割れを防ぐためにできることは?
窓ガラスの熱割れには、次のような予防策が効果的です。ポイントはガラス表面の温度をなるべく均一に保つことです。
①.急激な温度差を避ける
エアコンの冷風や温風がガラスに強く当たらないよう風向きを調整しましょう。
②.日射対策をする
- 直射日光が当たる場合は、窓の外側にすだれやサンシェードを設置
- カーテンやブラインド、レースカーテンで直射日光を和らげる
- UVカットフィルムや遮熱フィルムを貼って温度差を減らす
③.家具やシールの配置に注意
- ガラスにはポスター・ステッカーを直接貼らない
※部分的に熱を吸収して割れやすくなる原因に
- 窓ガラスに密着させて、濃い色のカーテンや家具、物を設置しない
④.結露に注意
結露を放置すると、窓ガラス周辺の温度差が大きくなり、熱割れのリスクを高めます。結露はこまめに拭き取りましょう。
その他の対策として、熱割れに強いガラス(ワイヤーが入っておらず、断熱性の高いもの)へ取り替える方法などもおすすめです。
まとめ
熱割れによる相談件数は、猛暑の影響で増加傾向にあり、今後も被害は拡大し続ける可能性があります。網入りガラスを使用している・窓周辺の経年劣化が進んでいるなど、熱割れリスクが高い住宅にお住まいの方は、事前に予防策をとって備えておきましょう。
もし熱割れが起こってしまった場合は、火災保険の適用も視野に入れながら、すみやかに窓ガラスやサッシの交換を手配してください。
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