「〇菌」の意味
「除菌」「殺菌」「抗菌」「滅菌（めっきん）」、どれも「菌」という文字を使っていますが、違いがよく分かりません。
強い順で言うと、このような順番になります。
- 滅菌
- 殺菌
- 除菌
- 抗菌
まずは、それぞれの定義を確認しましょう。
滅菌とは
「滅菌（めっきん）」は、菌を死滅・除去することを意味します。日本薬局方では、菌の数を滅菌前と比べて100万分の1以下にするという、かなり厳しい基準が設定されています。そのため、滅菌は注射器や手術器具など、医療現場で使われることがほとんどです。
日常生活ではあまり目にしませんが、哺乳瓶や赤ちゃん用コットンで「滅菌済」と書かれているものもあります。
殺菌とは
「殺菌」とは、文字通り、菌を殺すことを意味します。ただし、どのくらい殺すのか、どんな菌に効くのかといった細かい基準は決まっていません。殺菌と表示できるのは、厚生労働省が効果と安全性を確認した「医薬品」または「医薬部外品」のみです。例えば、薬用せっけんや消毒剤が該当します。
除菌とは
アルコールスプレーやジェル、ウェットシートなど、身の回りでよく見かけるのが「除菌」という言葉ですよね。除菌とは、菌の数を減らすことを意味します。「じゃあ、どのくらい減らせるの？」と気になるかもしれませんが、明確な基準はなく、製品によって効果はさまざまです。
殺菌とよく似た印象を受けますが、雑貨や化粧品などでは法律上「殺菌」と表示できないため、そのかわりに「除菌」という言葉が使われています。
抗菌とは
「抗菌」は、菌の繁殖を抑えるという意味です。菌を殺したり取り除いたりするわけではないですが、菌が住みにくい環境を作る効果があります。
代表的なアイテムとして、靴下やスリッパ、便座、おもちゃ、台所用スポンジが挙げられます。最近では、抗菌加工のお弁当箱やカトラリー（スプーンやフォーク）、おかずの上に載せる抗菌シートなど、食中毒予防を意識した商品も増えてきました。
消毒用アルコール・ジェルの選び方
菌対策をうたうアイテムはお店にたくさん並んでいます。でも、消毒アルコールやジェルを選ぼうとすると、「何を基準に選べばいいの？」と迷ってしまう方も多いはず。ここでは、家庭で使う手指消毒アイテムを選ぶときに、事前にチェックしておきたいポイントをわかりやすくご紹介します。
「アルコール消毒液」の記載があるか
「消毒」とは、細菌やウイルスなどの病原体を大きく減らし、感染力を奪うことをいいます。消毒という言葉も「殺菌」と同じく、医薬品または医薬部外品にしか使えません。パッケージに「アルコール消毒液」や「消毒用エタノール」と書かれていれば、しっかりと菌を無毒化する力がある証拠です。
似た表現に「無水エタノール」がありますが、アルコール濃度がとても高く、手指に使うには刺激が強め。こちらは掃除や家電の手入れ用なので、間違えて買わないように注意しましょう。
アルコール濃度は70から80％がおすすめ
アルコール消毒液のパッケージには、「アルコール（エタノール）◯％」といった濃度が書かれています。「100%に近いほど効きそう」と思いがちですが、実は70〜80％が推奨されています。
たとえば95％のような高すぎる濃度だと、肌につけた瞬間にすぐ蒸発してしまい、菌に作用できないことも。さらに、肌のうるおいも一緒に奪ってしまうので、手荒れの原因にもなります。「じゃあ、60％くらいなら肌にやさしい？」と思うかもしれませんが、十分な効果が得られない可能性があります。どうしても70％以上の製品が手に入らないときの代用にはなりますが、基本は70〜80％のものを選ぶようにしましょう。
保湿剤が含まれているか
「アルコール消毒で手がカサカサする...」「ひび割れてかゆい！」といった悩みがある方もいらっしゃると思います。アルコールには油分を取り除く力（脱脂作用）があり、揮発する際に皮膚の水分も一緒に奪ってしまうため、乾燥しがち。結果的に皮膚のバリア機能が弱まるため、ちょっとした刺激にも敏感になり、かゆみや赤みが起こりやすいのです。
そんなときは、保湿成分が配合されたアイテムに切り替えてみましょう。おすすめは「グリセリン」「ミリスチン酸イソプロピル」「グリチルレチン酸」。乾燥を防いで肌を守ってくれます。特に水仕事が多い方や、小さなお子さんがいる家庭では大事なポイントです。
まとめ
「殺菌」「除菌」「抗菌」「滅菌」。どれも似たように見えるけれど、意味や使われる場面が違うことが分かりました。
それぞれの特徴を知っておくと、本当に必要なアイテムが選びやすくなります。家族みんなが元気に過ごせるよう、感染症対策を見直してみてください。