
「冷凍焼け」とは
冷凍庫に食材を長期保存していると、「食べられないわけではないけれど、美味しくない...」と感じてしまうことが多いですよね。まずは、冷凍焼けとは何なのか、原因や見た目の特徴などを確認しましょう。
蒸発・乾燥すること
冷凍焼けとは、簡単に言うと、冷凍庫に入れておいた食材の水分が少しずつ蒸発して、乾燥してしまうことです。冷凍しているからといって空気との接触を完全に防ぐのは難しく、保存しているあいだに表面が乾き、パサパサ・ザラザラした食感になります。
さらに、たんぱく質が変性したり、脂が酸化したりしてしまうことで、味や香りもどんどん落ちてしまいます。
冷凍焼けの見た目
冷凍焼けしているかどうかは、見た目である程度判断できます。お肉やお魚の場合、表面が白っぽくまたは黒っぽく変色します。野菜の場合は、水分が抜けたことで、表面がボコボコしたり、シワがよっているのがサインです。
さらに、蒸発した水分が再び凍って、霜のように食材に付いていることもあります。
冷凍焼け=霜ではない
「冷凍焼けって、霜がいっぱい付いてるやつでしょ?」と思っている方も多いかもしれません。でも実は、霜が出ているからといって、必ずしも冷凍焼けしているとは限りません。冷凍庫の中で食材から出た水分が凍って、表面についただけの可能性もあります。食材の変色や乾燥の程度なども合わせて、冷凍焼けかどうか判断しましょう。
食べても大丈夫?
冷凍焼けした食材を食べても、基本的には体にすぐ悪影響があるわけではありません。ただし、食材の品質は確実に落ちていて、風味や食感はかなり変わっています。それに加えて、表面が乾燥して傷んだ部分から雑菌がつきやすくなり、解凍の過程で食中毒菌が繁殖してしまうリスクも。
「冷凍庫に入れているから」と安心せず、できるだけ早めに使い切りたいところです。
冷凍焼けになる目安
冷凍焼けが起きやすい期間は、食材によって違います。以下に、主な食材と目安をまとめました。
|
食材 |
冷凍焼けの目安 |
|
魚 |
2〜3週間 |
|
ひき肉 |
約2週間 |
|
かたまり肉 |
約3週間 |
|
野菜 |
約3週間 |
|
スープ |
約1か月 |
だいたい1か月を超えると冷凍焼けが起こりやすくなり、美味しく食べられない可能性が高くなります。いつ冷凍したか分からなくならないように、冷凍した日付を書いておくのがおすすめです。
冷凍焼けを防ぐ方法
冷凍焼けを防ぐ一番の方法は、なるべく早めに食材を使い切ること。でも、毎日冷凍庫の中をチェックするのはなかなか大変ですよね。ここからは、冷凍焼けを防ぐコツをご紹介します。「冷凍しておいたはずなのに、なんかおいしくない...」そんなガッカリを防ぐために、参考にしてみてください。
冷凍庫を開ける時間を減らす
冷凍庫のドアを何度も開けたり、長く開けっぱなしにしていると、中の温度が上がってしまいます。すると、食材が少し溶けてしまい、そのあと再び凍ることで水分が蒸発しやすくなり、冷凍焼けの原因になってしまうんです。
でも、冷凍庫の中がごちゃごちゃしていると、「あれどこだっけ?」と探すのに時間がかかりがちですよね。良い機会ですから、よく使うものを手前に、すぐ使わないものは奥にしまうなど、庫内を整理してみませんか。
食材を空気に触れさせない
空気に触れていると、水分がどんどん蒸発して、乾燥や酸化が進んでしまいます。だから、冷凍保存するときは「いかに空気を遮断するか」がポイント!たとえば、ジップ付きの保存袋に入れて、しっかり空気を抜いてから閉じるだけでも十分効果があります。
もっとしっかり密封したい方は、家庭用のフードシーラーもおすすめ。ハンディタイプなら3,000〜4,000円程度で手に入ります。
下味冷凍する
冷凍する前に味付けしておくと、冷凍焼けを防ぐのにとても効果的なんです。調味液に漬けることで、食材の表面がコーティングされて空気に触れにくくなり、乾燥や酸化を防いでくれます。しかも、冷凍と解凍の間に味が中までしっかり染み込むので、調理の時短にもつながって一石二鳥!たとえば、鶏肉をしょうゆとみりんで漬けておくだけでもOKです。
味付けしたくない食材には、表面に油を薄く塗ったり、砂糖水にくぐらせたりするだけでも効果があります。
冷凍やけから復活させる方法
冷凍焼けした食材は、とにかく色も味も食感もかなり落ちているため、美味しく食べることができません。でも、調理する前にちょっと処理をすることで、ある程度食材を復活させることができます。
ここでは、美味しく食べるための裏ワザをご紹介します。
肉類
冷凍焼け前の状態に完全に戻すことは難しいですが、美味しく食べるための調理法があります。それは、お肉の量と同じ量の水に3%の食塩を溶かし、浸すだけ!
密閉した袋に、お肉と食塩水(濃度3%)これを入れて2~3日くらい待てば、冷凍焼けしたお肉も復活しています。
お肉の量と同じ食塩水(濃度3%)を用意するのが難しいですが、水500gに大さじ1杯の塩を入れて混ぜ合わせ、その後、お肉の量に合わせて食塩水を減らせば簡単です。
魚介類
魚介類は、流水でゆっくり解凍しましょう。容器に水を張り、保存袋に入れた状態の魚介類を浸けます。そこに、上から水を流せばOKです。
赤身の魚や、短時間で解凍したいという方は、温塩水解凍を試してみてください。温塩水解凍とは、40度ほどのぬるま湯にお湯の量の3%の食塩を溶かし、そこに解凍したい物を10分程度浸ける方法です。その後、水分を拭き取り、一時間程度冷蔵庫の中に置いてください。

まとめ
冷凍庫に入れていた食材を調理したら、「なんだかおいしくない...」「結局、処分するしかなかった...」なんて、もったいないです。冷凍焼けは、ちょっとした工夫で防ぐことができます。例えば、空気に触れさせないように密封する、下味をつけて保存する、冷凍庫を整理するなど、すぐにできることばかり。
せっかくの食材を無駄にせず、最後までおいしく食べきるために、ぜひ今日から意識してみてください。
一覧へ戻る