
「点検商法」とは
点検商法とは、突然業者がやってきて、不安をあおる言葉で近づき、高額な工事を契約させようとする手口のことです。2023年度には消費生活センターに12,510件もの相談が寄せられており、決して他人事ではありません。まずは、点検商法の特徴を紹介します。
突然訪問してくる
「近所で工事をしているんですが、屋根が見えたもので...」「このエリアを順番に点検しているんです」そんなふうに、何の連絡もなく突然やってくるのが、点検商法の大きな特徴です。
「点検してもらった方が安心なんじゃないの?」「親切心で来てくれたのかも」と思う方もいるかもしれません。でも、信頼できる住宅会社が事前に連絡して行う定期点検とはまったくの別物。予約なしでいきなり訪ねてくる業者は、最初から売り込み目的であることが多いのです。
点検は無料
「点検だけなら無料ですよ」と言われると、「じゃあ見てもらおうかな...」とつい気を許してしまいがちですよね。でも実は、それが相手の狙い。普通の業者でも見積もりや簡単な確認を無料でしてくれるので、突然訪問してきた業者に頼む必要はありません。
不安をあおる
「屋根がズレてますよ」「床下がシロアリだらけです」「基礎にひび割れが見えました」そんなふうに、不安をあおるのが典型的な手口です。また、聞きなれない専門用語を並べて、「よく分からないけど、専門家がそう言うなら...」と思わせようとします。
考える時間を与えない
強引にその場で決断させようとするのも、点検商法によくあるパターンです。例えば「今すぐ工事しないと危険です!」「今日中に契約してくれたら半額にしますよ!」といった言葉が出てくるなら、警戒したほうがよいでしょう。

点検商法を見分けるポイント
ここでは、点検商法を見極めるポイントをまとめました。
部屋や屋根に上げない
「屋根をちょっとだけ見せてください」と言われても、きっぱりと断りましょう。点検商法の業者はしつこく食い下がってきますが、きちんとした業者であれば、無理に入り込もうとしません。
「家族に相談する」と言ってみる
「夫に相談してからにします」そう伝えてみるだけで、相手の本気度がわかります。ここで「今すぐに決めないと危険です!」「今日中なら特別価格なんです!」と強く契約を迫ってくる場合は、かなり怪しいと言えるでしょう。
同業の知り合いがいると伝える
悪質業者は、住宅のことに詳しくない人を狙って話を進めようとすることが多いため、「専門的な人が身近にいる」と知ると、一気に態度を変えることがあります。たとえ実際にそういう知り合いがいなくても大丈夫。「建築関係の知り合いに相談してみます」と伝えるだけでも効果的です。
名刺やパンフレットをもらう
「名刺かパンフレットをいただけますか?」と聞いてみましょう。きちんとした業者であれば、会社名・住所・電話番号などが書かれた名刺やパンフレットを用意しているはずです。
記録やメモを残す
「メモしてもいいですか?」とたずねてみましょう。誠実な業者であれば、もちろん断る理由はありません。急に態度を変えたり、焦って話を終わらせようとする場合は警戒が必要です。
「少し怪しいかも?」と思ったときは、会話の内容、業者の名前、訪問の日時などを記録しておくと、後から消費者センターや警察に相談する際に役立ちます。
見積もりを依頼する
「工事が必要」と言われても、すぐに決めずに見積もりをお願いしてみてください。費用の内訳も丁寧に説明してくれるかどうかで、誠実さが見えてきます。「これは一式で◯万円です」などと、あいまいな説明しかしてくれない場合は信頼しないほうがよいでしょう。

点検商法に騙されたかもと思ったら
「もしかして騙された?」「もう契約しちゃったけど大丈夫かな...?」と思ったときは、以下の窓口に相談してみてください。
消費者ホットライン
「188(いやや!)」は、全国共通の消費者ホットラインの番号です。自動的に最寄りの消費生活センターにつながるしくみになっているので、わざわざ自分で窓口を探す必要はありません。
住まいるダイヤル
住まいるダイヤルは、国土交通大臣の指定を受けた、住宅トラブル専門の相談窓口です。電話番号は「03-3556-5147」で、受付時間は10:00〜17:00(土、日、祝休日、年末年始を除く)です。
消費生活センター
「お住まいの地域名 + 消費生活センター(消費者センター)」で検索すると、近くの窓口がすぐ見つかります。公式サイトには電話番号や相談時間、昼休み時間、住所が記載されています。直接訪問にも対応してくれますが、事前に連絡しておくのがおすすめです。
警察署(生活安全相談係)
事件や事故に至らなくとも、警察に相談可能です。各警察署の生活安全相談窓口または警察相談専用電話「#9110」に電話してみてください。

まとめ
突然訪ねてくる「点検業者」。親切そうに見えても、その裏には高額な契約が隠れているかもしれません。「今すぐ工事しないと危ないです」と言われても、冷静に考えることが大切です。
たとえ契約してしまった後でも、すぐに相談すれば、クーリングオフや対応策が見つかる可能性があります。今日読んだ内容を、ぜひ頭の片隅に入れておいてください。
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