| こんにちは! 本多建設の本多和彦です。 |
| 昭和46年(1971年)3月5日(金)、さらに土讃線を南下し、 |
| 琴平駅から高知に向かう汽車のなかで、「夢野温泉」という |
| ひなびた場所にたった一軒しかない温泉宿の広告を見つけ、 |
| 高知駅の手前の土佐山田駅からバスで15分とありました。 |
| おとといからの夜行列車と連絡船とさらに電車に揺られ続けて |
| かなり疲れてもいたので、予算オーバーでしたが、旅の最初の |
| 宿ということもあり、今夜だけはいいだろうと、行ってみること |
| にしました。予約もせずになんとか泊まれて、温泉に浸かり、 |
| 夕食をとるとすぐに寝込み、朝まで熟睡でした。 |
| 当時の旅日記に一泊二食付きでいくらなのかを書き漏らして |
| いましたが、記憶では多分3000円から3500円ではなかったかと |
| 思われます。また私は自前のカメラなどという高級品は持って |
| いませんし、バカチョンカメラもなかった時代ですので、当然 |
| 旅の記録は毎日の覚え書きのようなメモ帳と旅日記しか |
| ありません。写真がのこってでもあればもう少し思い出せたかも |
| しれませんが。 |
| 3月6日(土)、夢野温泉から高知市までバスが出ており、1時間 |
| 10分で高知の駅前に着きました。期待していたはりまや橋は |
| なんの変哲もない、しかも全長10㍍ばかりの橋で、橋の下には |
| 川がなく埋め立てられて花などが植えられていました。高知市 |
| 一番の繁華街となっている模様でした。駅前広場から通りの |
| 並木道や公園などの木々はさすが南国を感じさせる棕櫚の木 |
| などが見られ、初めて見る景観にうきうきしてきました。 |
| 高知から室戸岬に向かうには、鉄道がないためバスとなります。 |
| 一日に出る本数が少ないため、今日中に室戸岬を通過して |
| 北へ向かい、甲浦(かんのうら)を経て牟岐(むぎ)という町へ |
| 行く予定ですのであまり高知に滞在する時間がありません。 |
| あてのない旅には違いありませんが、お金もぎりぎりしか |
| 持ち合わせていませんから、宿泊数は限られてしまいます。さらに |
| 宿泊先はすべて国民宿舎に決めていますし、それより安い宿を |
| 探すには時間がかかります。今と違って駅前には必ずビジネス |
| ホテルがあるという時代ではありませんから。多分フーテンの寅さん |
| が定宿にするような安い商人宿もあったでしょうが、慣れていませ |
| んから泊まりにくかったからかもしれません。 |
| 高知の桂浜を見る時間がなく、はりまや橋から甲浦行きの土佐 |
| 電鉄のバスが出ており、それに飛び乗って高知を後にしました。 |
| 国鉄バスであれば周遊券で乗れるんですが、私鉄なので乗車賃 |
| がかかります。甲浦まで780円とメモに書いてあります、その横に |
| 予定外出費ともありました。 |
| バスは土佐湾を右手に東南の方向、室戸岬に向かって走り |
| ます。当時の日記から「空には一点の雲とてなく、閉め切られた |
| バスの窓から、容赦なく強い日差に照らされ、額と鼻の頭に汗して |
| 早春の土佐湾の海を飽きることなく眺め続けていた。海は全く |
| 静かにまぶしく輝いている。このまま時が止まれと思うほど |
| 心地よい春のただ中にいる幸福を感じる。」 |
| 室戸岬で5分の休憩の後、甲浦(かんのうら)に着いたのは午後 |
| 4時半、高知から4時間半。甲浦は小さな漁村で、人影もまばらな |
| ところ、そこからさらにバスにのり牟岐(むぎ)という町へ向かい、 |
| 10分ほどして水床(みとこ)というところで降りる。国民宿舎「水床荘」 |
| はバス停から歩いて10分ほどで、国道からはずれたところにあり、 |
| 急な斜面を登りはじめると次第に立派な建物が見えてくる。 |
| ホテルは断崖絶壁の上にあり、登り詰めればホテル以外何もなく |
| 周りは海に囲まれ、絶景の極めつけという感じ。 |
| なんの心配もなくフロントで案内を請うと、部屋は満室と言われる。 |
| 考えれば今はシーズン中、予約もなしで泊まる方がどうかしています |
| といわれ、なるほどとは納得したものの、引き返すには遠すぎ、 |
| どこでもよいから今夜だけとお願いしたら、こんな客は珍しくないようで |
| 大広間でよければどうぞといわれ、広いに超したことなく、まずは |
| 一安心。一泊二食付き1200円でした。7時前に夕食は終わり、今夜は |
| 大広間は使わないようで、広々とした部屋の真ん中に布団を敷き、 |
| 海に面したベランダにでて、真っ暗な海を見ながら、遠くに漁り火だけが |
| はっつきり浮かび、満天の星を見上げながら、明日も晴れると一人で |
| つぶやいて、この旅が終われば、大学卒業となり、社会人となること |
| を思い出し、このまま永遠に旅ができればいいなあなどと思いつつ |
| すぐに寝付いてしまいました。 |
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