リフォームの基礎知識と費用の相場
畳の張り替えの基礎知識|方法別の費用相場とタイミング、注意点は?
畳を何年も使っていると、傷や汚れ、凹みなどさまざまな劣化が目立ってくることがあります。また、目には見えない芯の部分がいつの間にか寿命を迎えているケースも少なくありません。タイミングを逃さずに畳の張り替えを行い、きれいな状態を保ちながら使うようにしましょう。この記事では、畳の基礎知識や張り替え方法、費用相場などをご紹介します。張り替えのタイミングや注意点などもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
畳の基礎知識
畳といえばイ草(イグサ)を使ったものをイメージする方が多いのではないでしょうか。現在はイ草のほかにも和紙や樹脂といった素材で作られている商品が見られます。ここでは、畳の主な素材やそれぞれの特徴、部位の名称を解説します。
畳の素材別の特徴
イ草
従来の畳にはイ草が使用されてきました。イ草はイグサ科の植物で、国産のものだと熊本産が多く見られます。収穫された茎は泥染めや乾燥の後、綿糸や麻糸などと一緒に丁寧に織り上げられ、一枚の畳表となります。
イ草はリラックスできる香りの良さがメリットの一つです。イ草を使った畳は、家族でくつろぐリビングや、ゆっくり休みたい寝室など、さまざまな部屋に使われています。
加えて、消臭・脱臭・調湿効果などもあるといわれています。調湿効果とは、湿度を調整して快適な状態を保つ効果のことです。イ草は湿気を吸収・放出できるので、高温多湿な日本の夏にもぴったりの素材とされます。
ただし、イ草は日焼けや摩擦などに比較的弱い点がデメリットといえます。きれいな状態を保つためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
和紙
畳の新たな原材料として注目を集めているのが和紙です。こよりのように巻いてストロー状にしたものを、さらに樹脂コーティングして編み込んでいます。イ草と比較すると大きな変色がないので、新築住宅や賃貸住宅の和室などに使われるケースも多く見られます。
樹脂
「畳を敷きたいけど、ペットや小さい子がいるから傷がつかないか気になる」という方も多いのではないでしょうか。そういったご家庭には樹脂製の畳がおすすめです。
主にポリプロピレンが使われており、ストロー状に加工することでイ草に似た質感を生み出しています。耐久性・耐水性が高くお手入れしやすいので、傷や汚れが気になるご家庭でも安心です。水をこぼしても浸透しにくいため、脱衣所のように湿気の多い場所にも向いています。
畳の部位の名称
畳は、「畳表(たたみおもて)」「畳縁(たたみべり)」「畳床(たたみどこ)」の大きく3つの部位に分けることができます。畳表は、畳の表面のござの部分のことです。一つの畳に一枚の畳表が張り付けられています。どの素材にするかによって見た目の雰囲気や触り心地が変わってきます。
畳縁は、畳の長手方向のヘリに付けられた布の部分です。黒色や茶色などのシックなカラーが基本でしたが、現在は多彩なカラーが見られます。すべての畳に付いているわけではなく、琉球畳のように畳縁のないものもあります。柄入りや無地のものなど、デザインも豊富です。
畳床は、畳の芯材となる部分を指します。伝統的な畳は藁(わら)を重ねて作った藁床を使用していましたが、現在はポリスチレンフォームやインシュレーションボードなどを使った畳床が主流です。
畳の張り替えとはどのようなもの?
畳をきれいなまま長く使うには、「張り替え」を行ってメンテナンスすることが求められます。張り替えとはどんなリフォーム方法を指すのでしょうか。ここでは、畳の張り替えについて解説します。
畳の張り替えとは?
畳のメンテナンスを行うことを「畳の張り替え」や「畳替え」といいます。畳を長持ちさせるためには、一定の間隔でメンテナンスをすることがポイントです。
畳の張り替えには、「裏返し」「表替え」「新調」の3種類があります。それぞれの違いについてチェックしておきましょう。
畳の張り替えの種類
裏返し
畳表を剥がし、裏返してから再び張り直す方法です。「畳自体を丸ごとひっくり返して使う方法」と誤解されることもありますが、畳の裏側には防湿シートなどが付いているだけであり、裏返してそのまま使うことはできません。
畳表は両面とも表として使用することができます。片面の色あせや傷などが目立ってきたら、もう片方の面を表にすることで、新品同様の状態を楽しめるでしょう。
表替え
畳の芯の部分である畳床だけは流用し、畳表と畳縁を交換する方法です。畳の表面は古びていても、畳床に影響がない場合は表替えで対処できます。
新調
畳表・畳縁・畳床などがすべて傷んでおり、裏返しや表替えでも修繕できない場合は、畳自体を新しいものに取り換えます。買い替えることになるため、もっとも費用が高くなると考えておきましょう。
畳の張り替え費用の相場
<畳を張り替える際の費用相場>
畳の張り替えの種類 | 1畳あたりの費用相場 |
裏返し | 4,000円~9,000円 |
表替え | 4,000円~20,000円 |
新調 | 7,500円~35,000円 |
こちらはリフォーム会社や畳店などの業者へ依頼した場合の費用相場となります。畳の状態や張り替え方法の種類などによって、施工の手順や価格が変わります。もっとも高額になりやすいのは新調する場合です。畳の値段によっても料金は変化するので、グレードの高い高級畳を選びたい場合は予算内に収まるかをしっかりと確認しましょう。
畳の張り替えを行うタイミング
<畳を張り替えるタイミングの目安>
張り替えの種類 | 張り替えのタイミングの目安 |
裏返し | 使用開始から2年~5年 |
表替え | 裏返しから4年~7年 |
新調 | 使用開始もしくは表替えから10年~20年 |
畳の張り替えは、裏返し→表替え→新調の順で行うのが一般的です。畳の品質や使用環境などによってもリフォームのタイミングは異なります。以下のサインも目安にして張り替えを検討しましょう。
<畳の張り替えタイミングのサイン>
- 擦り切れて毛羽立っている
- 全体がデコボコと波打っている
- 色あせや変色が見られる
- 隙間ができている など
表替えをした後、再度裏返しをして張り替えていくことも可能です。ただし、畳床の寿命が来ていたら新調することになるでしょう。
畳の張り替えを行う際の注意点
畳の張り替えを検討する際は、以下のポイントにも着目してみましょう。ここでは、張り替え時に気をつけたい注意点を解説します。
畳の状態を確認する
畳が劣化していると感じた場合も、いきなり新調するのではなく、裏返しや表替えで対応できないかチェックするのがおすすめです。ただし、畳の状態を見極められるスキルを持つ人は限られています。畳を専門に扱う職人や、畳のリフォーム実績が豊富な業者へ依頼したほうが良いでしょう。
畳床の劣化が進んでいないかを確認する
畳床の劣化は見た目ではわかりにくいため、つい長く使いすぎてしまう可能性があります。踏み心地が悪くなっている、大きな凹みがあるといった場合は、畳床の劣化が進んでいるかもしれません。表替えではなく新調を検討したほうが良いでしょう。
自分で張り替える作業には注意事項が多い
畳のリフォーム費用を抑えるため、DIYで張り替えたいと考えている方もいるのではないでしょうか。ご自分で張り替えるのは不可能ではありませんが、あまりおすすめできません。というのも、作業時間が長くなりやすく、部屋全体の畳を張り替えるまでに数日かかるケースもあるからです。体力も集中力も必要になり、慣れない方では苦労してしまうでしょう。
畳を張り替えるためには専用の道具も必要です。近隣のホームセンターに取り扱いがない場合はネットショップなどで購入することになります。
また、畳替えの専門知識がないと寸法を間違えたり、希望通りの仕上がりにならなかったりすることもあります。DIYであれば数千円程度安く抑えるのも可能になりますが、失敗して最終的に業者へ依頼するケースもあるでしょう。
畳を張り替えるなら、リフォーム会社や畳店などの専門業者へ依頼するのが確実です。実績豊富なプロの業者なら、納得のいく仕上がりで畳を張り替えてくれるでしょう。リフォーム料金を予算内に抑えたい場合は、複数の業者から相見積もりをとるのもポイントです。
畳の張り替えはリフォーム会社に依頼しましょう
和室に欠かせない畳は、定期的に張り替えることで長持ちさせられます。裏返し・表替え・新調などさまざまな方法があるので、畳の状態に応じて適切な張り替え方法を選ぶのが大切です。ご自分で張り替えることも可能ですが、相応の手間はかかる上、失敗するリスクを伴います。畳を張り替えたいときは、信頼できるリフォーム業者へ依頼しましょう。経験豊富な専門業者なら、現在の状態に合わせた適切な方法でリフォームを行ってくれるはずです。気になる業者を複数選び、相見積もりをとってみましょう。