いま話題の「ナフサショック」とは?
2026年春、住宅業界を大きく揺るがしたのが「ナフサショック」です。
2026年2月末の中東情勢の緊迫化により、日本の原油輸入の約90%が通過するホルムズ海峡の航行が事実上制限されました。
この影響で、石油から精製される化学原料「ナフサ」の供給が急激に逼迫し、住宅建材や設備の価格高騰・供給停止という前例のない事態が発生しています。
4月にはTOTO・LIXILという浴室リフォーム市場の約80%のシェアを持つ二大メーカーがユニットバスの新規受注を一時停止。業界史上初めてのことでした。現在は受注再開されていますが、建材の大幅な値上げが本格化しています。
そもそも「ナフサ」って何?
ナフサとは、原油を精製する過程で得られる透明な液体で、ガソリンの原料としても知られています。
しかし、住宅業界にとってナフサが重要なのは、プラスチックや合成ゴム、塗料、断熱材など、あらゆる建築資材の「基礎原料」だからです。
ナフサを高温で熱分解すると、エチレン・プロピレン・ブタジエン・ベンゼンなどの「石油化学基礎製品」が生まれます。これらがさらに加工されて、私たちの住まいに欠かせない樹脂製品や化学素材になるのです。
ナフサから生まれる建築資材一覧
下の表は、ナフサから作られる化学製品が、どのような建築資材に使われ、どのリフォーム工事に関係するかをまとめたものです。
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化学製品 |
主な樹脂・素材 |
建築資材の例 |
関連するリフォーム工事 |
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エチレン |
ポリエチレン(PE) |
給水管、防湿シート、電線被覆 |
配管交換、防湿工事 |
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エチレン+塩素 |
塩化ビニル(PVC) |
排水管、雨樋、窓サッシ、壁紙 |
水回り、外装、内装リフォーム |
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プロピレン |
ポリプロピレン(PP) |
浴槽、便座、配管継手 |
浴室・トイレリフォーム |
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ブタジエン |
合成ゴム |
防水シート、シーリング材 |
屋根・外壁防水工事 |
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ベンゼン・トルエン |
ウレタン・フェノール |
断熱材(吹付・ボード) |
断熱リフォーム |
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キシレン |
アルキド・エポキシ樹脂 |
塗料、接着剤 |
外壁塗装、床工事 |
このように、配管から断熱材、壁紙、浴槽まで、住まいのあらゆる場所にナフサ由来の素材が使われています。つまり、ナフサの価格高騰は「特定の工事」だけでなく「住宅リフォーム全体」に影響するのです。
2026年5月時点の建材値上げ状況
ナフサ価格は2026年4月に過去最高値を記録し、その影響は建材価格に直結しています。以下の表で、主な建材カテゴリごとの値上げ幅と対策をまとめました。
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建材カテゴリ |
値上げ幅 |
影響を受ける工事 |
対策・代替案 |
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断熱材(ウレタン等) |
最大40〜50% |
断熱リフォーム、新築 |
グラスウール等への切替検討 |
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塩ビ管・継手 |
12〜20% |
給排水管の交換・新設 |
早めの発注・在庫確保 |
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防水シート・ルーフィング |
40〜50% |
屋根工事、防水工事 |
施工時期の前倒し |
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塗料 |
20〜70% |
外壁・屋根塗装 |
水性塗料等の比較検討 |
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壁紙(ビニルクロス) |
10〜15% |
内装リフォーム |
自然素材クロスの検討 |
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住宅設備(浴室等) |
メーカーにより異なる |
浴室・キッチンリフォーム |
補助金の活用 |
リフォームを検討中の方が今できること
1. 補助金を最大限活用する
2026年度は住宅リフォーム補助金が大幅に拡充されています。「みらいエコ住宅2026事業」ではリフォーム補助上限が最大100万円に増額、「先進的窓リノベ2026事業」でも窓交換で最大100万円の補助が受けられます。資材が値上がりしている今こそ、補助金を活用して実質負担を抑えることが重要です。
2. 早めの相談・見積もりが大切
建材の値上げは段階的に進行しており、8月・10月にもさらなる価格改定が予定されています。リフォームをお考えの方は、現時点の価格で見積もりを取っておくことをおすすめします。
3. 代替素材の検討
すべての建材がナフサ由来というわけではありません。断熱材であればグラスウールやロックウール、壁紙であれば自然素材系のクロスなど、ナフサ価格の影響を受けにくい代替品も選択肢に入ります。プロに相談しながら、コストと性能のバランスを考えましょう。
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