リフォームの基礎知識と費用の相場
浴槽の交換にかかる費用は?タイプや素材ごとの費用相場まとめ
毎日の入浴で利用する浴槽は、長く使うほど不具合が目立ってくることがあります。交換が必要になった場合、どのくらいの予算を準備しておけば良いのでしょうか。大まかな費用の目安を確かめておきましょう。
浴槽の耐用年数・交換のタイミングと工事日数
自宅の浴槽はどの程度使い続けることができるのでしょうか。ここでは、一般的な浴槽の耐用年数や交換のタイミング、工事日数の目安をご紹介します。
浴槽の耐用年数
浴槽の耐用年数は種類や使用環境などによっても変わりますが、一般的には約20年~30年が目安といわれています。また、ユニットバス(システムバス)の場合は約15年を目安に交換するのがおすすめです。
使用頻度が高い場合や、お手入れを怠っていた場合などは、10年ほどで寿命が来てしまうこともあります。適切な掃除やメンテナンスをしなければ、長持ちさせられない可能性もあるので注意が必要です。
浴槽の交換のタイミング
浴槽交換の目安となるのは劣化による不具合が増えてきたときです。経年劣化でさまざまなトラブルが発生することがありますが、放置しているさらにひどくなり、修理費用が高額になる可能性もあります。被害が小さいうちに対処するのがポイントです。
「排水口から嫌な臭いがする」「コーキングにひび割れがある」といった問題が出てきたら、浴槽交換を検討してみましょう。換気扇の動きが悪い、ドアが閉まりにくい、水漏れしているなど、浴槽以外にも問題がある場合は浴室全体のリフォームも視野に入れるべきです。
また、ライフスタイルの変化が訪れたときも浴槽交換のタイミングとなります。例えば、高齢の親と同居を始める際、介護生活を見越して入浴介助しやすいバスタブへ交換することがあります。その他、子どもが小さいうちに家を建てた場合、独立する頃には水回りが老朽化しており、リフォーム工事を行うケースもあるようです。
浴槽の交換にかかる工事日数
浴槽の交換工事にかかる工期の目安は1日~3日程度です。交換する浴槽のタイプや大きさなどで工事日数は異なります。例えば、ユニットバスからユニットバスへの交換の場合はそれほど日数がかからないといわれています。一方、在来工法のお風呂からユニットバスへの交換は、工期が長くなるケースもある点に留意しましょう。
【タイプ別】浴槽の交換費用の相場
浴槽は、設置方法によって「据え置きタイプ」「埋め込みタイプ」「半埋め込みタイプ」の3種類に大きく分けられます。タイプによって工事の手間は大きく変わり、交換費用にも反映されます。どの浴槽を選ぶかによってもリフォーム費用は変動する点を押さえておきましょう。ここでは、浴槽タイプ別の交換費用相場をご紹介します。
<【タイプ別】浴槽交換にかかる費用の相場>
タイプ別 | 費用相場 |
据え置きタイプ | 4万円~15万円 |
埋め込みタイプ | 10万円~45万円 |
半埋め込みタイプ | 10万円~45万円 |
据え置きタイプ
浴室の床に浴槽を置くだけで設置完了するタイプです。浴槽とは別に、お湯を沸かすためのバランス釜が付属します。浴室内の壁や床を解体せずに済むので、工期は短く費用も安価です。既存浴槽の撤去処分に約2万円~5万円、浴槽取付工事に2万円~6万円、配管工事に1万円~3万円ほどかかります。管理諸経費は工事費用の数%ほどです。バランス釜を交換する場合はさらに15万円~20万円程度かかると想定しておきましょう。
埋め込みタイプ
埋め込みタイプは、浴室の床に浴槽を埋め込むことが特徴です。床面と変わらない高さに埋め込むので、空間の広がりを感じやすいのがメリットです。ただし、シャンプーの泡や体を流したお湯などが浴槽に入ってしまいやすい点は留意しましょう。また、洗い場スペースと浴槽の間に段差ができるので、転倒防止対策を行うのも重要です。
埋め込みタイプは床や壁を解体撤去する必要があり、据え置きタイプよりも費用や工期がかかります。既存浴槽の撤去処分に約2万円~10万円、下地調整に約2万円~5万円、浴槽取付工事に約5万円~15万円、配管工事に約1万円~3万円、養生費に約2万円~5万円が目安です。壁や床の取り壊し費用は状況によって変動します。管理諸経費は工事費用の数%程度です。
半埋め込みタイプ
半埋め込みタイプは、据え置きタイプと埋め込みタイプの中間となる設置方法です。床面から30cm~40cmほど(浴槽の高さの3分の1程度)に浴槽を埋め込みます。埋め込み型よりも汚れたお湯や泡などが入りにくく、浴槽と洗い場スペースを行き来しやすいのが魅力です。据え置き型よりも高さは低くなるため、浴室空間を広く感じやすいのもメリットとなります。在来浴室の半埋め込み型の浴槽交換の場合、費用相場は埋め込み型とほとんど変わりません。
また、浴槽交換のために壁や床を解体した後、排水管などの不具合が見つかることがあります。追加工事が必要になる可能性があるので、予算は多めに用意しておくと安心です。
【素材別】浴槽の交換費用の相場
<【素材別】浴槽交換にかかる費用の相場>
素材別 | 費用相場 |
ヒノキ | 40万円~数百万円 |
ホーロー | 15万円~100万円 |
ステンレス | 2万円~25万円 |
人工大理石(ポリエステル系) | 2万円~40万円 |
人工大理石(アクリル系) | 30万円~120万円 |
FRP(強化繊維プラスチック) | 3万円~35万円 |
浴槽本体の交換費用は、素材やグレードによっても大きく異なります。コストを抑えたいときは本体価格の安い商品を選ぶことも選択肢の一つです。ただし、素材ごとに特徴は異なるので、耐久性やメンテナンス性なども考慮して選びましょう。
ヒノキの浴槽は香りが良く、温泉旅館のようなお風呂に毎日入れるのが魅力です。しかし、木製のお風呂はメンテナンスを怠るとカビや腐食などのトラブルが起こりやすいため、こまめなお手入れが必要です。価格相場が高い点にも注意しましょう。
ホーローの浴槽は、金属をガラス質でコーティングしているのが特徴です。保温性や防汚性が高く、見た目にも高級感があります。重量があるため、建物によっては2階以上への設置が難しいケースが見られます。
ステンレス浴槽は汚れやサビなどに強いメリットがあります。比較的安価なため、リーズナブルな浴槽をお探しの方におすすめです。一方、傷や水垢などが付くと目立ちやすいため、ご注意ください。
人工大理石の浴槽はデザインやカラーバリエーションが豊富で、耐久性が高い点も魅力となります。安価なポリエステル系と比較して、アクリル系のほうが透明感のある見た目や滑らかな肌触りを楽しめます。天然大理石よりは低価格で購入可能ですが、商品によって大きく値段が変わる点を考慮しておきましょう。
FRP(強化繊維プラスチック)は軽量で加工しやすい人気素材です。そもそも丈夫な材質ですが、ひび割れや穴ができた際の補修もしやすいというメリットがあります。安く購入しやすいのも大きな魅力です。ただし、汚れが目立ちやすく、塗装が経年で変色しやすいといったデメリットもあります。定期的に再塗装するのがおすすめです。
ユニットバスの交換費用の相場
ユニットバスとは、浴槽や床、天井、ドアなど、各パーツが1セットになって製造されている浴室のことです。パーツを持ち込んで現場で組み立てるだけで完成するので、スムーズに工事を終えることができます。そのため、工期や費用を抑えやすいのがメリットです。
ユニットバスの交換にかかる費用の相場は、55万円~150万円が目安です。ユニットバスの性質上、浴槽のみを取り替えるのが難しく、浴室全体を交換するパターンが多く見られます。浴槽だけの交換が可能かどうかは、リフォーム業者に相談して判断してもらいましょう。
浴槽の修繕を行う目安と浴槽の修繕にかかる費用の相場
浴槽を交換するほどの劣化ではない場合、塗装による修繕で対応可能なケースがあります。どんなときに修繕工事を依頼するか、どの程度の費用がかかるかをチェックしておきましょう。
浴槽の修繕を行う目安
浴槽にひび割れやサビを見つけたら、修繕することがおすすめです。放置していると劣化が進み、水漏れやカビのリスクも生じます。なるべく早めに対処しましょう。
浴槽のひび割れ・サビなどは塗装して修繕するのが一般的です。ただし、塗装不可とされる素材もあるので気をつけましょう。基本的にFRPや人工大理石であれば塗装可能といわれていますが、ステンレスやホーローなどは難しいとされます。
浴槽の修繕にかかる費用相場
浴槽の塗装費用の相場は、大体7万円~18万円です。金額は浴槽の素材やグレードによって変わります。
節約のためにDIYで修繕したいと考える方もいるかもしれません。しかし、浴槽塗装には技術が必要であり、無理に塗ると失敗してしまうリスクもあります。浴槽の修繕は専門業者へ依頼するのがおすすめです。浴室リフォームの得意なリフォーム業者を選べば、理想通りのきれいな仕上がりを実現できるでしょう。
浴槽交換の費用は素材や設置方法によってさまざま!
浴槽を長く使っていると劣化が進み、交換が必要になることがあります。耐用年数が近づいたときや、不具合を見つけたときなどは、交換を検討してみましょう。交換費用は浴槽の設置方法や素材などの条件によって変動します。今回ご紹介した費用相場はあくまでも目安であり、詳細な金額は状況によって異なります。施工を依頼するリフォーム会社によっても金額は変わるので、複数の業者に相談して相見積もりをとると良いでしょう。