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巾木とは?役割や選び方について

IMG_5741.jpg 施工事例Ⅰ

リフォームの打ち合わせを進める中で、「巾木(はばき)の色はどうしますか?」と聞かれ、
「巾木ってどこ?」「そんな細かいところまで決めるの?」と驚かれる施主様は少なくありません。

巾木は、部屋の床と壁の境目に取り付けられている、ほんの数センチの細長い部材のことです。普段は目立たない小さなパーツですが、実は住まいの耐久性を高め、部屋の印象を大きく左右する非常に重要な役割を持っています。

 

今回は、巾木の持つ役割や主な素材の種類、失敗しない選び方について詳しくご紹介します。

  


 

巾木とは?

住宅は木材や建材の伸縮、施工上の理由から、壁と床、天井と壁の間にわずかな隙間が生じます。

その床と壁の境目をきれいに隠すための部材が「巾木」です。(幅木と表記されることもあり)高さ4~6㎝程度の細い部材で、リビングや寝室、廊下、洗面室、トイレなど、和室や浴室を除くほとんどの部屋に取り付けられています。

 

一方、天井と壁の境目についている部材も巾木?と思われるかもしれませんが、また違う部材で、「廻り縁(まわりぶち)(廻子(まわりこ))」といいます。

以前は壁紙の伸縮による隙間を隠すために設けられることが一般的でしたが、現在は壁紙の性能が向上し、伸縮による隙間が目立ちにくくなりました。

そのため、最近では廻り縁をつけず天井まわりをすっきりと仕上げる住宅がほとんどです。

 


 

巾木の3つの重要役割

①壁紙を傷や汚れから守る         

部屋の隅はホコリが溜まりやすく、掃除機やモップをかける際に壁へぶつかってしまうことがあります。

●掃除機にかけるときにヘッドがコツンと当たる

●水拭きによる汚れや変色

●お掃除ロボットによる擦れや壁への衝突

●子供のおもちゃや家具がぶつかる

もし巾木がなかったら、これらの衝撃がすべて壁紙(クロス)や漆喰などの塗り壁に直接伝わってしまいます。壁紙が破れたり、黒ずんだりするのを防ぐ「緩衝材(バンパー)」として、巾木は日々壁を守っています。

 

 

②壁と床の隙間を隠す           

実は、日本の木造住宅において、床と壁はぴったりくっついて施工されているわけではありません。

あえて「数ミリの隙間」を空けて作られています。


木材は季節の湿度や温度の変化によって、膨張したり収縮したりする性質があります。もし隙間なくギチギチに作ってしまうと、木が動いたときに床が盛り上がったり、壁がきしんだりする原因になります。また、家全体の構造の歪みを逃がすためにも、この隙間(逃げしろ)が必要です。


巾木には、この「施工上どうしても必要な隙間」を上から覆い、隠すという大切な役割があります。隙間が隠れることで、ゴミやホコリが溜まるのを防ぎ、隙間風が入ってくるのも遮断できます。

 

 

③壁紙のめくれを物理的に防ぐ       

壁紙(クロス)を接着剤で貼る際、最も剥がれやすいのが「端(エッジ)」の部分です。

特に床と接する面は、床掃除の際の水分や摩擦によって、時間が経つとペラペラと浮いてきやすくなります。巾木で上からしっかりと押さえることで、壁紙のめくれを長期的に防ぐことができます。

 

 


 

巾木の種類

巾木に使われる素材はいくつかありますが、一般的な住宅で採用されるのは

主に「木巾木(もくはばき)」「ソフト巾木(ビニール巾木)」の2種類です。部屋の用途や予算に合わせて使い分けます。

素材

主な特徴

適した部屋

木製巾木

MDF(木質繊維板)や天然木。

厚みがあり、高級感・意匠性が高い。

リビング、ダイニング、寝室、子供部屋

ソフト巾木

塩化ビニル製。薄くて柔らかく、

耐水性に優れコストも安い。

トイレ、洗面脱衣室、キッチン、クローゼット

 

 

木製巾木                

リビングや居室など、主要な部屋の床が「フローリング」の場合に最もよく使われるタイプです。

現在主流なのは、MDF(木材の繊維を固めたもの)の表面に、本物の木目を印刷したシートをラッピングした製品です。

メリット

しっかりとした厚み(5mm〜9mm程度)があり、高級感が出ます。既製品のフローリングやドア(建具)のメーカーが同色・同素材の巾木を用意していることが多く、空間のトータルコーディネートがしやすいのが特徴です。

デメリット

水にはあまり強くないため、水が飛び散る場所には不向きです。

多彩なバリエーションから選べる「巾木」選びのポイントとは?【見落とさない家づくり】第2回

 

 

ソフト巾木               

塩化ビニルで作られた、薄くて柔らかいリボン状の巾木です。

床が「クッションフロア(CF)」「フロアタイル」で仕上げられる場所にセットで使われます。

メリット

ゴムのように柔らかいため、湾曲した壁にも隙間なく貼ることができます。非常に薄いためホコリが溜まりにくく、万が一汚れても水拭きで簡単に落とせます。価格も木巾木に比べてリーズナブルです。

デメリット

どうしても質感がプラスチック風になるため、高級感を出したいリビングなどに使うと、少しチープな印象になってしまうことがあります。

 

その他、店舗やオフィスではアルミ製やステンレス製の巾木が使用されることもあります。

 

 


 

巾木の高さによる印象の違い

巾木は色や素材だけでなく、高さによっても空間の印象が変わります。

一般住宅では4.㎝~6㎝程度が多く採用されていますが、最近ではデザイン性を重視して低めの巾木も増えています。

 

低い巾木(3~4.㎝程度)        

低い巾木は存在感が少なく、壁との境目が目立ちません。

そのため、すっきりした印象やシンプルでモダンな空間、天井が高く見える、といった効果があります。ホテルライクや北欧風、ナチュラルテイストのお住まいにも人気があります。

ただし、高さが低い分、掃除機などから壁を守る範囲はやや少なくなります。

 

標準的な巾木(4.5~6㎝程度)      

最も多く採用されるサイズです。

デザイン性と実用性のバランスが良く、壁をしっかり保護してくれるため、迷ったらこのサイズがおすすめです。

 

高い巾木(7.5㎝以上)          

高さのある巾木は存在感があり、空間に重厚感や高級感を演出できます。

輸入住宅やクラシカルなデザインでは高めの巾木を採用することもあります。一方で、コンパクトなお部屋では少し圧迫感を感じる場合もあるため、全体のバランスを考えて選ぶことが大切です。

 

 


 

巾木の選び方

巾木の色選びは、部屋のインテリアの完成度を左右する隠れたチェックポイントです。

基本的には「壁の色に合わせる」か「床(建具)の色に合わせる」かの2択になります。それぞれの視覚効果を知っておきましょう。

 

壁の色に合わせる            

IMG_4061.jpg 施工事例Ⅱ

現在、最も人気が高いのが、壁紙(多くの場合は白系)と同色の巾木を選ぶ方法です。

●視覚効果

巾木が壁と同化して存在感が消えるため、空間全体がすっきりと広く、開放的に見えます。天井が高く感じられる効果もあります。

●こんな人におすすめ

モダン、ミニマル、北欧風など、シンプルで洗練されたインテリアを目指す方。

●注意点

掃除機などが当たると、白い巾木に黒い擦れ汚れがつくことがあります。ただ、最近の製品は汚れが落ちやすいコーティングが施されているものが多いです。

 

床や建具の色に合わせる         

IMG_3348.jpg 施工事例Ⅲ

フローリングの木目の色(ウォルナット、オーク、チェリーなど)や、ドアの枠の色と巾木の色を統一する方法です。

●視覚効果

床がそのまま壁に向かって少し立ち上がっているように見えるため、床面積が広く、どっしりとした安定感のある空間になります。部屋の輪郭が強調され、クラシカルで引き締まった印象になります。

●こんな人におすすめ

ヴィンテージ風、和モダン、トラディショナル(伝統的)な落ち着いたインテリアがお好きな方。

●注意点

濃い色(ダークブラウンや黒など)の巾木を狭い部屋に使うと、部屋の周囲に「枠」ができるため、少し部屋が狭く感じられることがあります。

 

あえてアクセント色として使う      

IMG_5758.jpg IMG_5599.jpg 施工事例Ⅳ・Ⅴ

最近では、グレーの壁紙にあえて黒いスリムな巾木を合わせたり、木目の壁に真鍮(ブラス)色やアルミ製の巾木を合わせたりして、インテリアのラインを引き締めるアクセントとして使う手法も増えています。

 

 


 

すっきりスマートに!現代の巾木トレンドと最新デザイン

昔の住宅の巾木は、高さが6cm〜9cmほどあり、厚みもしっかりしているものが一般的でした。

しかし、近年のインテリアトレンドは「ノイズレス(視覚的な無駄をなくすこと)」です。巾木の主張を極限まで減らすための、新しいデザインや手法をご紹介します。

① スリム巾木(ロー巾木)

高さをこれまでの半分以下、1.5cm〜3cm程度に抑えた超極細の巾木です。

壁の保護という最低限の役割を果たしつつ、遠目から見ると線のようにしか見えないため、空間のノイズを劇的に減らすことができます。スタイリッシュなリビングにしたい施主様から今、絶大な人気を誇っています。

IMG_3061.jpg IMG_5905.jpg 施工事例Ⅵ・Ⅶ

 

② アルミ巾木

樹脂や木ではなく、スタイリッシュなアルミニウム製の巾木です。

厚みがわずか数ミリと非常に薄く、金属特有のシャープな質感が特徴です。デザイナーズ住宅や、インダストリアルデザイン、洗練されたモダンインテリアによく採用されます。

IMG_0593.jpg IMG_3790.jpg 施工事例Ⅷ・Ⅸ

 

③ 入巾木(いりはばき)

通常、巾木は壁から出っ張るように取り付けられますが(これを出幅木といいます)、入巾木は壁の内側に巾木を埋め込み、壁と巾木をツラ(平ら)にする、あるいは少し奥に引っ込ませる高度な施工方法です。

メリット

壁面が完全にフラットになるため、家具を壁にぴったりとくっつけて配置できます。また、巾木の上にホコリが溜まることが一切なくなります。

デメリット

大工さんや内装職人さんの非常に精密な技術が必要になるため、通常の巾木に比べて施工費用(人件費)が高くなります。

入巾木2.jpg 入巾木.jpg 

 

 


 

最近話題の巾木なし(巾木レス)ってどうなの?メリット・デメリット

SNSで海外のデザイン住宅を見ると、巾木が全くない巾木なし(巾木レス)の部屋を見かけることがあります。

「ホコリが溜まらないし、見た目も最高にシンプルだから我が家も巾木なしにしたい!」と思われる方もいらっしゃいますが、工務店としてはデメリットもしっかり理解した上で慎重に選ぶことをおすすめしています。

 

巾木なしのメリット           

●生活感が完全に消え、美術館やホテルのような究極に美しい空間になる。

●巾木の上のホコリ掃除から完全に解放される。

巾木なしのデメリット          

●壁が確実に汚れる・傷つく:日常の掃除機がけや、足が当たることで、壁の最下部が数年でボロボロになってしまうリスクがあります。

●建築コストが跳ね上がる:前述の通り、床と壁の隙間を隠すものがなくなるため、床材と壁材を「1ミリの狂いもなく」美しく突き合わせる必要があります。これには通常以上の手間と時間がかかるため、坪単価や施工費が上がります。

●底冷えやゴミの懸念:経年変化で木材が動いた際、床と壁の間に隙間が見えてしまい、そこから隙間風が入ったりゴミが落ちたりすることがあります。

 

【雅の家からのアドバイス】

もし「すっきりさせたいけれど、耐久性やコストも大事」という場合は、全面を巾木なしにするのではなく、一番目立つリビングだけをスリム巾木(またはアルミ巾木)にして、他の部屋は通常の白い木巾木にするといった、メリハリのある選び方がおすすめです。

 

 


 

 

まとめ

小さな巾木こだわって、理想の住まいを叶えよう

一見、あってもなくても良さそうな「巾木」ですが、家を長持ちさせるための職人の知恵と、インテリアの印象を左右するデザイン性が詰まった、非常に奥深いパーツであることがお分かりいただけたかと思います。

 

巾木を選ぶ際のチェックリストをおさらいしましょう。

1.基本は、部屋を広く見せたいなら「壁の色」に合わせる

2.落ち着きや高級感を出したいなら「床・建具の色」に合わせる

3.洗練されたモダン空間にしたいなら「スリム巾木」や「アルミ巾木」を検討する

4.水回り(洗面・トイレ)は掃除がしやすい「ソフト巾木」を選ぶ

 

図面やカタログだけでは、全体の雰囲気をつかむのが難しいこともあります。雅の家では、3Dパースを使って「巾木の色や高さを変えると、お部屋の雰囲気がどう変わるか」をシミュレーションしながらご提案しております。

「我が家のインテリアにはどの巾木が合う?」「インスタで見かけたあのすっきりした部屋を再現したい!」など、どんな小さなこだわりでもお気軽にご相談ください。細部まで妥協しない家づくりを一緒に進めていきましょう!

 

普段はあまり意識することのない部分ですが、色・素材・高さを少しく工夫するだけで、お部屋全体の雰囲気は大きく変わります。 リフォームやリノベーションを検討される際は、壁紙や床材だけでなく、巾木にもぜひ注目してみてください。

 

細かな部分までこだわることで、より満足度の高い住まいづくりにつながります。

 

 


 

 

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