キッチン作業には、食材を出す、洗う、切る、加熱するなど、さまざまな種類があります。
一連の流れをスムーズにこなすには、キッチンレイアウトが重要なポイント!
「調味料がパッと出せない」「冷蔵庫から材料を出すのに時間がかかる」など毎日のプチストレスも、
キッチンのタイプや配置、収納、家電の配置を見直すことで解消することができます。
使いやすいキッチン配置のポイント
「ワークトライアングル」を意識する
キッチンレイアウトを考える上でもっとも重要なのが作業動線。効率的に作業ができるように、シンク・コン
ロ・冷蔵庫の3点を結んでできる三角形「ワークトライアングル」の3辺の距離の合計を360~600㎝の範囲に
近づけることがポイントです。距離が長すぎると移動が多く効率的に作業ができません。逆に短すぎるとキッ
チンスペースに余裕がなくなり、スムーズな作業が難しくなります。

また2列型キッチンやコの字(U字)型キッチンの場合、作業スペースの幅にも配慮が必要です。
一人でキッチン作業をするなら最低でも75cm、二人以上で作業するならすれ違えるように105cm以上の幅を
設けておきましょう。
レイアウトごとのポイント
キッチンレイアウトは主に6種類あります。それぞれの特徴についてご紹介します。
①I型

シンク、コンロが一列に、そして一般的には冷蔵庫もその横に並ぶことが多いタイプ。一人暮らしや1Kな
どコンパクトな間取りに多く見られるレイアウトです。壁に向かって配置されることが多く、隣接するダイ
ニングやリビング空間を広く使えます。
〇動線の考え方
I型キッチンは、他のタイプよりコンパクトに設置できるため、動線を短くして作業しやすくすることができ
ます。とはいえ、横幅を短くしすぎると、作業スペースが狭くなりすぎてしまいます。逆に横幅を長くする
と、移動距離が伸びて動線が悪くなることも。横移動の作業は向き不向きがあるので、普段の家事の様子を
思い出して検討しましょう。
〇収納
一般的に壁に向かった配置の多いI型キッチンのレイアウト。この場合、収納はスペースをきっちりと確保で
きる吊戸棚の活用がおすすめです。吊戸棚を設けない場合は、シンク下収納やキャビネットに引き出しタイ
プを選べば、収納量を増やすことが可能です。対面式I型キッチンの場合は、背面に収納棚などを設置し、収
納スペースを設けるとキッチンがスッキリして使いやすくなります。
〇家電の置き方
壁付け式のI型キッチンの場合、調理家電を置くスペースが限られてしまうのが難点です。冷蔵庫の上のスペ
ースを有効活用したり、キャビネットやキッチンカウンターにまとめて収納したりすることがおすすめで
す。対面式のI型キッチンであれば、背面に収納棚やキャビネットなどを置いて、調理家電を配置することが
可能です。冷蔵庫も背面に設置すれば、動線が短くなり、使いやすいキッチンになります。
②2列型
シンクとコンロを向かい合わせに配置したキッチンレイアウト。多くの場合は、シンク・コンロ・冷蔵庫が
三角形で結ばれるため、動線が短く機能的なキッチンです。一人で作業するか複数人で作業するかによっ
て、作業スペースの幅を考える必要があります。
〇動線の考え方
2列型キッチンでワークトライアングルを意識した家事動線を作る場合、冷蔵庫の配置がポイントになりま
す。コンロとシンクの対角線の長さを踏まえ、できるだけ正三角形になるよう、キッチンに近い位置に冷蔵
庫を設置しましょう。
また、2列型キッチンは作業中に通路を挟んで行き来する形になります。適切な通路幅を選ぶことで、移動が
スムーズになり、より作業しやすい動線をつくることが可能になります。
〇収納のポイント
2列型キッチンは、キャビネットに多くの収納が確保できます。そのため、吊戸棚を設置しない開放的なキ
ッチンのレイアウトにすることが可能です。追加で食器棚を設置する必要もないため、空間を圧迫すること
がないレイアウトだといえます。
〇家電の置き方
冷蔵庫はキッチンのすぐ横に置き、シンク・コンロ・冷蔵庫のキッチン作業動線を作るようにしましょう。
また、作業動線を考慮した上で、電子レンジや炊飯器などの調理家電の配置場所を決めるようにするとよい
です。2列型キッチンは収納量が多いことが特徴に挙げられるので、使用頻度の低い家電は出しっぱなしに
せずに収納しましょう。
③L型

シンク、コンロ、そして冷蔵庫も合わせてL字型になるように配置することが多いキッチンレイアウト。
Ⅱ型キッチンと同様、効率的な動線で作業がスムーズです。一方、キッチンのコーナー部分はデッドスペー
スになりがち。作業台やキャビネットの収納などに工夫を凝らす必要があります。
〇配置のポイント
L型キッチンは壁付け・対面のいいとこどりが可能なキッチン。片方の面を対面式に、もう片方の面を壁付け
にすることで、集中したい作業とリラックスしたい作業とをスペースごとに分けることができます。気を付
けなければならないのが、L型キッチンは設置スペースがそれなりに広くないといけない点です。間口・奥行
のサイズが十分にないと、かえって動きにくくなってしまいます。お部屋のどこに設置するか、リビング・
ダイニング空間と合わせて検討しましょう。
〇動線の考え方
L型キッチンは、コンロとシンクを90度で向かい合うように設置できるため、冷蔵庫、シンク、コンロの3つ
の点からなる三角形「ワークトライアングル」をI型キッチンに比べて短く設計できます。普段の家事の様
子を思い出しながら、どんな配置が動きやすいか、イメージを固めておくことが重要です。
〇収納のポイント
L型キッチンは作業スペースと収納スペースがたっぷり確保できる点がメリットですが、コーナー部分は奥行
きがあるため、モノの出し入れがしづらかったり、デッドスペースになってしまったりする場合もありま
す。コーナー部分は家電やストック保管場所として使うなどの工夫が必要です。キャビネットや吊戸棚な
ど、収納のコーナー部分には可動式トレーなどの活用がおすすめです。
〇家電の置き方
デッドスペースになってしまうコーナー部分に、炊飯器や電子レンジ、食器洗い乾燥機などの家電を置くの
がおすすめです。冷蔵庫はシンク側に置いて動線を考慮しましょう。
④コの字(U字)型


シンク、コンロ、冷蔵庫をU型に配列したキッチンレイアウト。L字型キッチンよりもさらに動線が効率化さ
れ、作業しやすいのが特徴です。U型キッチンを実現するには比較的広めのスペースが必要です。
〇配置のポイント
コの字(U字)型キッチンは、対面キッチンと壁付けキッチンのいいとこどりができるのがメリット。油はねが気になるコンロや集中したい作業スペースを壁付けにし、シンクを対面にしてゆったり家族や友人とコミュニケーションを取る、といった使い分けが可能です。
〇動線の考え方
コンロ、シンク、冷蔵庫を結んだ「ワークトライアングル」を考えやすいタイプのキッチンです。移動距離
を短くするために、適切な通路幅を選択しましょう。より使いやすく効率のよい動線をつくることができます。
また、作業スペースが3辺に分かれるので、どこにコンロ、シンク、作業スペースを配置するかによって、作
業のしやすさが変わってきます。
〇収納のポイント
コの字(U字)型キッチンはL型キッチンと同様、コーナー部分の奥行きがデッドスペースになってしまうこ
とが懸念されます。コーナー部分は家電やストック保管場所として使うなどの工夫が必要です。
〇家電の置き方
デッドスペースになってしまうコーナー部分に、炊飯器や電子レンジ、食器洗い乾燥機などの家電を置くの
がおすすめです。コーナーが2つあるので、置くものがごちゃごちゃして見えないように工夫することがポイ
ントです。
⑤アイランドキッチン

シンクとコンロ、またはそのうちのどちらかを含むカウンターを、独立させた「島」のように配置するキッ
チンレイアウト。カウンターの両端が壁に接していないため、左右どちらからでもキッチンに出入りできま
す。開放的で、大勢で料理を楽しめるキッチンです。
〇配置のポイント
アイランドキッチンは"見せるキッチン"としてデザインを楽しめる点が人気な反面、常に手元が丸見えにな
っているため、お手入れや片付けがプレッシャーになることもあります。
また、「島」の部分にコンロを配置すると、調理中の水はねや油汚れ、匂いや煙などがリビング・ダイニン
グに広がりやすくなる点も注意が必要です。その場合は、コンロ前にパネルを設置して換気扇への空気の流
れをつくるなど、工夫をするとよいでしょう。
〇動線の考え方
アイランドキッチンの場合は、基本的には「島」部分にシンクとコンロが横並びに設置されていることが多
いので、背面に冷蔵庫を置くと、ワークトライアングルを快適にすることができます。さらに不足しがちな
収納面は、パントリー式の食器棚と家電収納カウンターを設けるとよいでしょう。
〇収納のポイント
アイランドキッチンは開放的な反面、キッチンの上のモノが散乱しても、隠せないところが難点です。常
に、使ったモノをしまえるような工夫が必要です。 ダイニング側にも、収納を設けられるタイプがあるの
で、食器収納として使うことはもちろん、リビングでよく使うモノを置いたり、インテリアスペースとして
使ったりすることも可能です。別途、食器棚や調理家電を置くカウンターを背面に設置することをおすすめします。
〇家電の置き方
冷蔵庫は背面に、同じく家電は背面にカウンターなどを設置し、動線を考慮した配置を検討してみてくださ
い。
⑥ペニンシュラキッチン

カウンター両端が壁に接していないアイランドキッチンに対し、カウンターの片端が壁に接しているタイプ
をペニンシュラキッチンと呼びます。カウンター背後のスペースは、食器棚や家電収納などを設置したり、
腰高のカウンターを置いて作業台として使ったりすることもできます。
〇配置のポイント
アイランドキッチンの場合は、キッチン両側に通路用の空間を確保しなければなりませんが、ペニンシュラ
キッチンの場合は、片方のみでOKです。広々としたスペースがなくても設置しやすいため、リビング・ダイ
ニングや洗面室など、他の部屋との配置も考えやすく、間取りの自由がききます。生活スタイルやおうち全
体の間取りと合わせて配置を考えるのが重要です。
〇動線の考え方
アイランドキッチンと比較すると、回遊性が悪くなるという意見もありますが、実は間取り次第で、抜群の
回遊性を手に入れることもできるのです。例えば、壁側に玄関へつながるドアがあれば、買い物から帰って
きたらすぐに冷蔵庫へ一直線。荷物の重たさも、生もの・冷凍食品への心配もいりません。
また、ペニンシュラキッチンを中心に、他の部屋との距離や出入りのしやすさを考えておくのもよいでしょ
う。お鍋を火にかけている間に掃除や洗濯物をするなど、複数の部屋を渡って家事をするシーンで、家事効
率がUPします。
〇収納のポイント
アイランドキッチン同様、キッチンの上のモノが散乱しても隠せないタイプのペニンシュラキッチン。モノ
の定位置を決めたり、常に使ったモノをしまうようにしたりするなどの工夫が必要です。さらに背後のスペ
ースに食器棚や家電収納、腰高のカウンターなどを配置すると収納量と作業スペースを確保することができ
ます。
〇家電の置き方
家電の置き方もアイランドキッチンと同じです。冷蔵庫や調理家電は、背面にカウンターなどを設置し、作
業動線を考慮して配置を検討してみてください。
まとめ
いかがでしでしょうか?システムキッチンと一口に言っても、さまざまなレイアウトや特徴があります。
それぞれの特性を理解し、自分にぴったりのスタイルを見つけてみましょう。
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