2026年8月23日午前2時ごろ、茨城県南部を震源とする地震が発生しました。マグニチュード5.9、震源の深さは約70km。取手市では震度5弱、守谷市では震度4を観測しています。
真夜中でした。眠りについていたところを突き上げるような揺れで起こされ、暗闇の中で家族の名前を呼んだ----そんな方が多かったのではないでしょうか。
私自身も、あの数十秒間は本当に怖かった。2011年3月11日のあの日の感覚が、身体の奥から一気によみがえってきました。
幸い、大きな被害の報告はありませんでした。けれど「何もなくてよかったね」で終わらせてしまうと、次に同じことが起きたときに、また同じ怖い思いをすることになります。
揺れの記憶が残っているうちに、できることをひとつでも。
住まいの専門家として、皆さまにお伝えしたいことを2つに分けてまとめました。ひとつは「今日、ご家庭で無料でできること」。もうひとつは「家そのものを地震に強くすること」です。
【第1部】今日からご家庭でできる、5つの備え
特別な工事も、大きな出費も必要ありません。週末の1時間でできることばかりです。
1. 家具の固定は「寝室から」始めてください
地震によるケガの原因は、家具の転倒・落下・移動が非常に大きな割合を占めます。そして今回のように、地震は深夜に起きることがある。眠っている場所が一番無防備です。
まずは寝室から、この順番で見直してみてください。
- 背の高い家具を、寝ている人の上に倒れない配置に(これは家具を買わなくても、動かすだけでできます)
- タンス・本棚・食器棚は、L字金具で壁の下地に固定(突っ張り棒だけでは不十分なことが多いです。天井が石膏ボードだと突き破ってしまいます)
- テレビは専用ベルトで固定
- 食器棚のガラス扉には飛散防止フィルム、開き扉には耐震ラッチ
ポイントは「壁のどこに柱や下地があるか」。ここが分からず金具が効いていないケースをよく見かけます。下地探しの道具は数百円で買えますし、ご相談いただければお教えします。
2. 寝室の足元に「スリッパと懐中電灯」を
深夜の地震で最も危険なのは、割れたガラスの上を裸足で歩くことです。
停電した真っ暗な部屋で、割れた食器やガラスを踏んでしまえば、避難どころではありません。
- スリッパまたは底の厚い靴を、ベッドの下に1足
- 懐中電灯を枕元に(スマホのライトは、そのスマホが飛ばされていたら使えません)
- ホイッスルもあると安心です。閉じ込められたとき、声より遥かに遠くまで届きます
3. 「窓ガラス」の対策を忘れずに
意外と見落とされがちなのが窓です。大きな揺れでガラスが割れると、破片が室内に飛び散ります。
飛散防止フィルムを貼るだけで、被害はぐっと小さくなります。ホームセンターでも購入できますし、リビングの大きな掃き出し窓だけでも効果があります。
4. 水と食料は「3日分」から。冷蔵庫の中身も戦力です
飲料水は1人1日3リットル、最低3日分。4人家族なら36リットルです。
構えて全部そろえようとすると始められないので、**「ローリングストック」**をおすすめします。普段食べるレトルト食品や缶詰を少し多めに買っておき、古いものから食べて買い足すだけ。特別な非常食を用意しなくてもいいので続きます。
あわせて、カセットコンロとボンベは必ず。停電・ガス停止時に温かいものが食べられるかどうかで、心の余裕がまったく違います。
5. 家族で「集合場所」と「連絡方法」を決めておく
これが一番大事で、一番タダでできることです。
大きな地震の直後は電話がつながりません。今回の地震のあと、ご家族に電話がつながらず不安だった方もいるはずです。
- 災害用伝言ダイヤル「171」の使い方を家族全員で確認(毎月1日・15日に体験利用ができます)
- 学校や職場から帰れない場合の待ち合わせ場所を2か所(近所の一次避難場所と、少し離れた場所)
- お子さんの学校の引き渡しルールを、親御さん両方が把握しているか
小学生のお子さんがいるご家庭は、ぜひ今週末の夕食のときにでも話してみてください。「この前の地震、怖かったね」から始めれば、自然に話せます。
【第2部】家そのものを、地震に強くする
ここからは、私たち工務店の本業のお話です。
家具を固定しても、備蓄をそろえても、家が倒れてしまえば意味がありません。 逆に言えば、家が無事なら、その後の生活を自宅で続けられます。地震対策の土台は、やはり建物そのものです。
まず知っていただきたい「2つの境目」
日本の住宅の耐震性能には、大きな分かれ目が2回あります。
| 建てられた時期 | 状況 |
|---|---|
| 1981年(昭和56年)5月以前 | 旧耐震基準。最優先で耐震診断を受けていただきたい年代です |
| 1981年6月〜2000年(平成12年)5月 | 新耐震基準だが、耐力壁の配置バランスや金物の規定が不十分。この年代も要注意です |
| 2000年6月以降 | 現行基準。ただし「基準を満たす」=「大地震で無傷」ではありません |
意外と知られていないのが真ん中の年代です。「新耐震だから大丈夫」と思われている築25〜45年のお住まいでも、熊本地震では被害が確認されています。
ご自宅がいつ建てられたか、まず確認してみてください。 それだけでも、次に何をすべきかがはっきりします。
取手市には「無料の耐震診断」があります
取手市では、市内の木造戸建住宅を対象に、耐震診断士を派遣する無料耐震診断を平成17年度から実施しています。あわせて、耐震改修工事や耐震建替えへの補助制度もあります。
※年度ごとに受付期間・予算枠が決まっており、時期によっては受付終了となっています。最新の受付状況は市の窓口、または当社までお問い合わせください。守谷市・つくばみらい市にも同様の制度があります。
「うちは対象になる?」「手続きが面倒そう」----そのあたりは私たちがご案内します。まずは診断を受けて、現状を数字で知ることがスタートです。
リフォームでできる耐震補強
診断の結果によって内容は変わりますが、代表的なものはこちらです。
■ 壁を強くする(耐力壁の追加・補強) 筋かいや構造用合板を入れて、揺れに抵抗する壁を増やします。数だけでなく配置バランスが重要で、南側に大きな窓が並ぶ家は要注意です。
■ 接合部を金物で固める 古い家は、柱と土台・梁が釘やほぞだけでつながっていることがあります。大きな揺れで柱が土台から抜けてしまう「ホゾ抜け」を防ぐため、金物で確実に緊結します。費用対効果が非常に高い工事です。
■ 基礎の補強 無筋コンクリートやひび割れがある基礎は、鉄筋を入れて増し打ちします。
■ 屋根を軽くする 重い瓦屋根を軽い金属屋根に葺き替えると、建物の揺れ幅そのものが小さくなります。頭が軽いほうが揺れにくい、というシンプルな理屈です。外壁塗装や雨漏り対策と同時に行うと効率的です。
■ シロアリ・腐朽部分の補修 どんなに金物を入れても、木が傷んでいれば力を伝えられません。床下の状態確認は必ずセットで行います。
断熱リフォームと「同時に」やってください
これは強くお伝えしたいことです。
耐震補強は壁や床を開ける工事です。その開けたタイミングで断熱材も入れれば、工事費を大きく節約できます。 別々にやると、同じ壁を2回壊すことになります。
しかも2026年度は「みらいエコ住宅2026事業」で断熱改修に最大100万円の補助が出ます。地震に強く、冬あたたかい家に、一度の工事で。 これが今いちばん賢い進め方です。
新築なら「耐震等級3」を標準に
これから家を建てられる方へ。
耐震等級には1〜3があり、等級3は建築基準法の1.5倍の強さ。消防署や警察署といった、災害時に機能を止められない建物と同じ水準です。
熊本地震では、震度7が2度襲った益城町で、耐震等級3の住宅の多くが大きな損傷なく住み続けられたことが報告されています。「一度目は耐えたが二度目で倒れた」という被害が相次いだなかでの結果です。
東匠ハウジングでは、耐震等級3を"オプション"ではなく"標準仕様"としています。
さらに、私たちが採用するLIXILのスーパーウォール工法は、高性能な断熱パネルが壁そのものとして働く「モノコック構造」。面全体で地震の力を受け止めて分散させるため、地震に強く、しかも高い断熱性能(Ua値0.4未満・C値0.3以下)を両立できます。強さと快適さを、別々のコストで買わなくていいというのが、この工法の一番の魅力です。
そしてこの工法は、既存住宅のリフォーム(スーパーウォールリフォーム)にも使えます。 建て替えるかリフォームか迷われている方は、ぜひ一度ご相談ください。
最後に
私たちは、取手市で長く住まいづくりに携わってきました。リフォームはLIXILリフォームショップに加盟して20年以上、地域の職人が集まる協力業者会「東匠会」とともに、日々技術を磨いています。
その私たちが今回の地震で改めて思ったのは、**「家は、家族の命を守る場所であってほしい」**という、ただそれだけのことでした。
耐震診断は、けっして「工事を売り込むための入り口」ではありません。診断の結果、「思ったより大丈夫ですよ」とお伝えすることもあります。それでも、知らないまま不安を抱えているより、ずっといい。
「うちの家、大丈夫だろうか」
そう感じられた方は、どうぞお気軽にご連絡ください。図面がなくても構いません。まずは築年数を教えていただくところから始めましょう。
あの夜の怖さを、次の安心に変えるお手伝いをさせてください。
LIXILリフォームショップ 株式会社東匠ハウジング 茨城県取手市/新築・リフォーム・耐震診断のご相談を承っております
参考情報
- 気象庁 地震情報(2026年8月23日 茨城県南部・最大震度5弱)
- 取手市 木造住宅無料耐震診断/木造住宅耐震改修費・耐震建替費補助
- みらいエコ住宅2026事業(住宅省エネ2026キャンペーン)