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熊本の地震に寄せて ― 「家がこわれない」ということの意味を、データから考える

はじめに

2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」により、お亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます。また、被災されたすべての皆さま、いまも避難所や車中で不安な夜を過ごされている皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

真夏の断水と停電のなかでの避難生活は、想像を絶する厳しさだと思います。一日も早くライフラインが復旧し、皆さまが安心して眠れる場所に戻られることを、社員一同、心より願っております。

この記事は、商品やサービスをおすすめするために書いたものではありません。

住まいをつくる仕事に携わる者として、「建物の構造」が人の命とその後の生活をどう左右するのか。公的機関が公表しているデータをもとに、できるだけ正確にお伝えしたいと考えました。被災された方が読まれる可能性も踏まえ、表現には十分に配慮したつもりですが、いま辛い状況にある方は、どうぞご無理をなさらずページを閉じてください。


1. 令和8年熊本地震で、何が起きたのか

まず、現時点で公表されている事実を整理します。

項目 内容
発生日時 2026年7月28日 16時27分ごろ
規模 マグニチュード7.1/震源の深さ約16km
最大震度 震度7(熊本県宇城市、八代郡氷川町)
原因とされる断層 日奈久断層帯
人的被害 死者38人(2026年8月3日時点、県発表。ほかに災害関連死の疑いも確認)
住家被害 8月3日時点で1万2,000棟を超えて報告。調査の進展により増加中
ライフライン 八代市は全域で断水(約6万戸)。国交相は8月中の断水解消を表明

国内で震度7が観測されたのは、2024年1月1日の能登半島地震以来、約2年6か月ぶりです。そして熊本県内では、2016年(平成28年)熊本地震以来、10年3か月ぶりの震度7となりました。

気象庁は「地震発生から1週間程度は、最大震度7程度の強い揺れをもたらす地震が発生することがある」として、繰り返しの揺れへの警戒を呼びかけました。大きな地震は、一度で終わらない。 これは、住宅の構造を考えるうえで決定的に重要な事実です。


2. 10年前のデータが教えてくれること

2016年の熊本地震では、震度7が2回、震度6強が2回という、かつて経験のない揺れが同じ地域を襲いました。この災害については、国土交通省が「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」を設置し、被害を受けた建物を一棟ずつ調査した詳細な報告が公表されています。

住宅の構造を考えるうえで、これほど貴重なデータはありません。以下、益城町中心部で調査された木造住宅1,955棟の結果です。

建てられた年代による差

区分 倒壊・崩壊 大破
全体(1,955棟) 297棟(15.2%) 230棟(11.8%)
うち2000年基準の住宅 7棟 12棟

1981年の「新耐震基準」より前に建てられた住宅では、倒壊・崩壊といった甚大な被害が数多く発生しました。一方、2000年基準(新耐震基準に加えて、地盤調査と柱の接合金物の指定が義務化されたもの)の住宅では、被害は大きく減っています。

ただし、ここで目を背けてはいけない数字があります。2000年基準の住宅でも、倒壊・崩壊が7棟、大破が12棟発生しているということです。

耐震等級3の住宅はどうだったか

同じ益城町中心部で、耐震等級3を取得していた住宅16棟の結果です。

被害の程度 棟数 割合
無被害 14棟 87.5%
軽微・小破 2棟 12.5%
中破・大破 0棟 0%
倒壊・崩壊 0棟 0%

震度7を2回、震度6強を2回受けた地域で、倒壊はゼロ。約9割が無被害。

母数が16棟と少ないため、統計的に断定できるほどのサンプル数ではありません。その点は正直にお伝えします。しかし、同じ揺れを受けた同じ町の中で、これだけ結果が分かれたという事実は、非常に重い意味を持っています。


3. 「基準を満たしている」と「地震に耐える」は同じではない

耐震等級について、あらためて整理します。

  • 耐震等級1=建築基準法が定める最低限のレベル。数百年に一度の地震(震度6強〜7相当)に対して**「倒壊・崩壊しない」**
  • 耐震等級2=等級1の1.25倍の強さ
  • 耐震等級3=等級1の1.5倍の強さ。消防署や警察署など、防災拠点に求められるレベル

ここで見落とされがちなのが、耐震等級1が保証しているのは**「即座に倒壊せず、逃げる時間を確保する」ことであって、「地震のあともその家に住み続けられる」**ことではない、という点です。

そして、建築基準法は本来「一度の大地震」を想定した基準です。2016年の熊本地震では、1回目の揺れを耐えた住宅が、2回目の揺れで倒壊した例が相次ぎました。損傷は、蓄積するのです。

気象庁が今回も繰り返しの揺れに警戒を呼びかけたのは、まさにこの理由からです。


4. 家が「その後の生活」を左右する

地震のニュースで語られるのは、多くの場合「倒壊した家」の話です。しかし、住まいをつくる仕事をしていると、もうひとつの現実が見えてきます。

倒壊は免れても、大きく傾いた家、壁に亀裂が入った家には、住み続けることができません。そこから避難所生活が始まります。真夏や真冬の避難所生活が心身に与える負担は極めて大きく、災害関連死の背景にもなります。

逆に言えば、地震のあとも自宅に住み続けられること自体が、最大の防災です。

耐震等級3の価値は、「壊れないこと」だけではありません。「地震のあとも、我が家で眠れること」。その差が、その後の数か月、数年の生活を分けます。


5. 茨城県で暮らす私たちにとっての話

「熊本の話だから」と思われるかもしれません。

しかし、茨城県は日本でも地震の多い地域のひとつです。首都直下地震の切迫性も繰り返し指摘されています。取手市・守谷市・つくばみらい市周辺には、旧耐震基準(1981年以前)で建てられた住宅も少なくありません。

では、何から始めればよいのか。答えはシンプルです。

まず、我が家の現状を知る

取手市には、木造住宅の耐震診断士を派遣する制度があります。 また、耐震改修設計を伴う耐震改修工事や耐震建替工事について、費用の一部(費用の5分の4、限度額100万円)を補助する制度も設けられてきました。

※補助制度は年度ごとに受付期間や予算枠が定められており、内容が変更・終了している場合があります。ご利用の際は、必ず取手市の窓口で最新の状況をご確認ください。当社でもご案内できます。

まずは診断を受けて、いまの我が家がどういう状態なのかを知る。それが、すべての出発点です。

断熱工事と一緒に考えると、費用対効果が高くなる

もうひとつ、実務的なお話をひとつだけ。

耐震補強は、壁をいったん開ける工事を伴うことが多くあります。そして断熱改修も、同じく壁を開ける工事です。別々に行えば二重にかかる解体・復旧費用が、同時に行えば一度で済みます。

「いつかやろう」と思っている断熱リフォームがあるなら、耐震補強と同じタイミングで検討されることを、専門家としておすすめします。夏の暑さ・冬の寒さの解決と、地震への備えを、一度の工事で。


6. 私たちが大切にしていること

東匠ハウジングは、新築住宅において耐震等級3を標準仕様としています。あわせて断熱等級6〜7、LIXILのスーパーウォール工法を採用し、Ua値0.4未満・C値0.3以下という性能を実測で確認しています。

なぜそこまでするのか。理由は、この記事で書いてきたとおりです。

「基準を満たしている」で止めてしまうと、いざというときに家族を守りきれない可能性がある。データがそれを示しているからです。

またリフォームにおいても、LIXILリフォームショップに加盟して20年以上、住まいに関するあらゆるご相談に対応してきました。既存住宅の耐震補強、そしてスーパーウォール工法による断熱リフォームまで、いまお住まいの家の性能を引き上げるお手伝いができます。

さらに当社には、協力業者による「東匠会」という組織があります。勉強会やイベントを通じて、職人一人ひとりが技術を高め合う場です。どれだけ優れた工法や設計であっても、現場の施工精度が伴わなければ性能は発揮されません。熊本地震の被害分析でも、倒壊の要因のひとつとして「施工不良」が挙げられています。チームで技術を磨き続けることを、私たちは何より大切にしています。


おわりに

繰り返しになりますが、この記事は営業のために書いたものではありません。

いま被災地で必要とされているのは、住宅の性能論ではなく、水と、電気と、涼しく眠れる場所と、日常です。私たちにできることは限られていますが、業界の一員として、できる支援を続けてまいります。

そのうえで、離れた場所にいる私たちにできる、もうひとつのこと。それは、自分の家と家族について、いま考えておくことだと思います。

耐震診断を受けてみる。家具の固定を見直す。家族で避難場所を確認する。今日できることから、ひとつずつ。

住まいのことでご心配なことがありましたら、工事のご依頼でなくてもかまいません。どうぞお気軽にご相談ください。

LIXILリフォームショップ 株式会社東匠ハウジング 茨城県取手市


参考・出典

※本記事に記載の被害状況は2026年8月上旬時点の公表情報に基づくものです。最新の情報は各公的機関の発表をご確認ください。

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